ロシアによるウクライナ侵攻に対して米国のバイデン大統領は制裁を発表したが、その中にはSWIFTシステムからロシアを排除することや仮想通貨の送金を制限することは含まれていなかった。

バイデン大統領はその発表の中で、米国や同盟国が「プーチンによるウクライナへの戦争」に対してロシアに「壊滅的なコスト」を課すことを目的とした制裁を課すと述べた。この制裁の中には、ロシア最大の銀行であるズベルバンクやVTBバンク、オトクリティバンクなどのロシアの主要金融機関を米国の金融システムから切り離すことが含まれている。またロシア政府の高官とその家族に対する制裁も行う。

しかし24日のバイデン大統領の会見の中では、ロシアを銀行間送金ネットワークである「SWIFT」から切り離すことは含まないとも明言した。ロシアは以前としてSWIFTが利用できるようであれば、米国や同盟国による制裁の影響は限定的になるとみられている。

ウクライナ政府はSWIFTを制裁に含めるように求めていたが、バイデン大統領は大手銀行に制裁を課すことで「同様の効果をもたらす」と述べ、必要に応じてSWIFTを含めるオプションもあり得ると付け加えた。

また仮想通貨も経済制裁逃れに使われるのではないかとの懸念も浮上している。ブルームバーグの24日の報道によれば、ロシアの億万長者たちは仮想通貨を使って商品やサービスを購入し、さらに海外への投資も行い、厳しい経済制裁を回避する可能性があるというのだ。

「裕福な個人が制裁によって自分の銀行口座が凍結されることを警戒しているならば、制裁から自分の資産を保護するためにビットコインを使うこともできるだろう」と、クオンタムエコノミクス創業者のマティ・グリーンスパン氏は指摘している。

ウクライナを巡る状況はまだ終わっていないが、ウクライナ侵攻による影響は仮想通貨市場にも及んでいる。ニュースが報じられた直後にビットコインは急落し3万4000ドル台に落ちたが、その後価格は回復し、足元では3万8000ドル台にまで上昇している。