米国の対中関税による市場の混乱が続くなか、仮想通貨分析企業メサーリとスイスの仮想通貨銀行シグナムの幹部は、2025年後半に機関投資家によるビットコイン採用が加速すると見込んでいる。

4月8日に開催されたパリ・ブロックチェーン・ウィークのパネルディスカッションで、メサーリのエリック・ターナーCEOとシグナム銀行の共同創業者トーマス・アイヒェンベルガー氏は、銀行セクターによる仮想通貨市場への関与が今年後半に大きく進展するとの見通しを語った。

両氏によれば、世界中の銀行がビットコイン(BTC)関連サービスの提供を本格化させる可能性は高く、特に規制当局がステーブルコインや銀行による仮想通貨サービスを受け入れつつある点が重要だという。

メサーリのターナー氏は、「第2四半期はやや静かな展開になるかもしれないが、第3・第4四半期には非常に面白い動きが出てくると期待している」と述べ、2025年後半の市場動向に強い期待感を示した。

仮想通貨の推進力はトランプ氏だけではない

一部の投資家が、仮想通貨に前向きなトランプ米大統領の姿勢に注目している一方で、ターナー氏は「本当に重要なのは、より広範な規制面での進展だ」と強調した。

「米国における市場構造規制やステーブルコイン規制の動き、そしてトランプ大統領個人にとどまらず、米証券取引委員会を含む各種規制当局が仮想通貨に前向きになっていること自体が非常に大きい」とターナー氏は語った。

シグナムのアイヒェンベルガー氏は、米国に支店を持つ国際銀行も、法的枠組みが明確になれば仮想通貨市場への本格参入に踏み切るだろうと述べた。

「米国の銀行は、仮想通貨カストディおよび少なくともスポット取引サービスを提供できるよう準備を進めているのは、もはや明白な事実だと思う」とし、「その時点では、私もエリックの意見に全面的に同意する」と述べた。また、明確な規制が整うまでの間は市場の不透明感が続くとも予想している。

銀行が仮想通貨事業に本腰か

アイヒェンベルガー氏は、米国で銀行向けの仮想通貨関連ルールが整備されつつあることで、米国外に拠点を置きながら米国市場にも関与している大手国際銀行が、一斉に仮想通貨サービスへ動き出すと予測している。

「一部の銀行はこれまで、仮想通貨関連サービスを戦略計画に組み込んでいながらも、米国の規制当局から追及されるのを恐れて踏み切れなかった」としたうえで、「しかし今は、世界中どこを見渡しても、規制当局を恐れる理由がなくなってきたと思う。だから今年中に、多くの国際銀行が仮想通貨分野に本格参入するだろう」と語った。