仮想通貨の受容が世界中で進行中だが、米国や欧州ではまだ進んでおらず、ビットコインもメインストリームで主要資産としては位置づけられていない。スマートコントラクトプラットフォーム「ルートストック」をサポートする財団であるIOVラボのダニエル・フォッグ氏によれば、仮想通貨が人々の日常の問題に対する解決策を提供している新興市場では採用が進んでいる。フォッグ氏はマイアミで開催されたビットコイン・ビルダーズ・カンファレンスで、コインテレグラフとのインタビューに応え、ビットコインの実用主義、世界的な受容、新興経済が仮想通貨の未来をどのように形作っているかについて語った。

フォッグ氏によれば、新興市場が仮想通貨の導入をリードしている主要な理由は、マクロ経済的な課題がを抱えているからだ。彼の見解では、有意義なデジタルバンキング体験が、今後数年で新興市場で仮想通貨を使って行われることになる。

「ストリートにいる人々は、自らの収入を守り、ローンを組むために米ドルを手に入れる必要に迫られている。…私たちはいま大きな変化を目の当たりにしている。仮想通貨の未来がどのようになるか、その答えはトルコ、コロンビア、ナイジェリア、アルゼンチンで今日すでに存在している。米国や英国では存在していない」とフォッグ氏は語る。

フォッグ氏は、仮想通貨の分野が2つの主要なユースケースを通じて進化していると考えている1つは、莫大なリターンを求める人々や代替投資機会を提供するための分散型金融(DeFi)ソリューションを中心としたものだ

もう1つのユースケースは、インフレ、通貨切り下げ、その他の通貨問題に対処する経済で、節約や日常支払いのために米ドルに連動するステーブルコインを取得する人々だ

「DeFiにもある種の分岐があると思う。米国やヨーロッパでの利用が多い先進的なDeFiと、新興市場で毎日見られるような日常的なDeFiに分かれていくだろう」

新興市場はリテール金融に「スケールの機会」を提供し、ルートストックとその姉妹会社であるIOVラボにとって、これらの地域向けのDeFi製品を開発することが重要な戦略だとフォッグ氏は付け加える。

ビットコインの実用主義について語る中で、フォッグ氏はビットコインが画期的な革新であるものの、ビットコインだけでは十分ではないと強調した。フォッグ氏によれば、仮想通貨の分野にはまだ何十億人ものユーザーに対応する確立されたユースケースが存在せず、それを達成するには何年もかかるかもしれない。

「支払い、貯蓄、借り入れ、貸し出し、リテール金融などが想定されていると思うが、他にも多くのユースケースがある。そこにたどり着くためには実験が必要だ。ビットコインが何であるべきかについての伝統的な保守的な考え方によって阻まれることは、世界にとって損失だ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン