仮想通貨取引所コインベースは米国から事業を移転する予定はないと、ブライアン・アームストロングCEOが第1四半期の決算発表で投資家に伝えた。

アームストロング氏は5月5日、米国での規制の不確実性にもかかわらず、同社は長期的に米国市場に「100%コミット」していると株主に保証した

「はっきりさせておくが、われわれは米国に100%コミットしている。この会社を米国で設立したのは、法の支配がここにあると確信したからだ。それは非常に重要であり、実際、米国がこれを正しく進めることに非常に楽観的だ」

アームストロング氏が言及した「楽観」は、議会が間もなく仮想通貨企業が従うべき明確なルールを制定するという確信から来ている。

「ワシントンDCを訪れると、議会が米国で明確なルールブックを作成する新しい立法を行うための両党間の強力な支持がある。そして、これが米国にとって非常に重要だと思う」とアームストロング氏は言う。

ただし、アームストロング氏の発言は完全に「楽観的」ではなかった。

同氏は、米証券取引委員会(SEC)の予測不可能な執行行動に懸念を抱いており、3月下旬に証券規制当局からウェルズ通知を受け取っている

「委員会との継続的な協議にもかかわらず、彼らはコインベースに対する具体的な懸念事項を明確にしていないため、私はあまり推測することを控えなければならない」

「われわれが直面する可能性のあるSEC訴訟のタイムラインを予測するのは特に困難だ」とアームストロング氏は付け加えた。

これらの問題を受け、コインベースが7月以降保留されている請願に対する回答を求めるため、米国の連邦裁判所で訴訟を起こすに至った。

このSECとの攻防は、コインベースが5月2日にコインベース・インターナショナル・エクスチェンジ(CIE)を立ち上げたと同時に行われており、一部の業界ウォッチャーたちがコインベースが米国からの脱出ルートを探していると考えている

この新しい取引所CIEは、シンガポール、香港、エルサルバドル、フィリピン、タイ、バミューダを含む世界30カ国の顧客に対応しており、現在これらの国で認可を受けている

アームストロング氏は、欧州連合(EU)が規制上の進捗において「先頭」に立っており、2024年半ばから2025年初頭にかけて施行される予定の暗号資産市場(MiCA)規制がその例であると語った。

「MiCAと呼ばれる包括的な仮想通貨規制を採用しており、この地域全体にわたる単一の明確なルールブックを作成している。これはかなり強力だ」

「先日イギリスとワシントンDCへの旅行から戻ってきたが、両方ともステーブルコインや市場構造に関連する法案が作成中だ。シンガポール、香港、オーストラリア、ブラジルなども、実質的にこの方向に進んでいる」とアームストロング氏は付け加えた。

アームストロング氏の発言は、コインベースが第1四半期に収益を22%増加させ、純損失を4億7500万ドルから7900万ドルにまで抑えることができたことを受けて行われた。