シティが発表したレポートによれば、世界のポストトレード市場の取引高の約1割が、今後5年以内にステーブルコインとトークン化証券を通じて処理される見込みであるという。

同レポートによると、銀行が発行するステーブルコインは、担保効率の改善、資金のトークン化、プライベート市場の証券において主要な役割を果たすと見なされている。

調査は2025年6月から7月にかけて、米州、欧州、アジア太平洋、中東のカストディアン、銀行、ブローカーディーラー、資産運用会社、機関投資家537社を対象に実施され、その半数以上がポストトレード業務に生成AI)の導入を試験的に行っていると回答した。

ポストトレード市場は、証券取引の検証、実行、完了のプロセスを担うものだ。

デジタル資産は「転換点」に接近か

シティはレポートで、2021年以降、デジタル資産の採用は初期的な実験段階から戦略的実装へと進展してきたと指摘する。その勢いは明確であるものの、まだ決定的な転換点には至っていないが、「(転換点に)きわめて近づいている」と予測している。

「長年の基盤整備を経て、世界のポストトレード市場は国際的規模でスピード、コスト、強靭性において大きな変革期に突入する可能性がある」とシティは述べている。

回答者は、流動性とポストトレードのコスト効率を分散型台帳技術(DLT)投資の主な推進要因に挙げ、多くが今後3年間でブロックチェーンがこれらの領域に大きな影響を与えると予測した。

シティによれば、「回答者の半数以上が、DLTが世界の資本市場における証券の回転速度を高める能力が、2028年までに資金調達コスト、財務リソース要件、運営コストに大きな影響を及ぼすとこれまで以上に明確に認識している」という。

米国ではより高い成長期待

デジタル資産の成長期待は米国で特に高く、2030年までに市場取引高の14%がデジタルまたはトークン化資産によって処理されると予測されている。欧州は10%、アジア太平洋は9%にとどまる見通しである。

シティは、こうした米国の前向きな姿勢は、7月にトランプ大統領が署名したGENIUS法などの規制改革や、ステーブルコイン発行者サークルや資産運用大手ブラックロックなどの企業によるデジタル流動性の拡大努力に後押しされていると分析した。

ポストトレード業務における生成AIの役割

調査では、57%の回答者がポストトレード業務に生成AIを試験導入していると回答した。さらに、機関投資家の67%が決済照合、報告、清算、決済に生成AIを活用していると答えた。

生成AIはテキスト、画像、動画、各種データを生成するAIモデルを活用する技術である。

一方で、最も多くの企業が導入を進めているのは顧客オンボーディングの領域であり、ブローカーの83%、カストディアンの63%、資産運用会社の60%が活用している。

シティは「より迅速で効率的なオンボーディングが文字通り収益につながる世界において、このユースケースは最適な出発点であり、小売と機関投資家のギャップを埋める機会となる」と結論づけている。

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