英オークションハウスのクリスティーズが、仮想通貨による不動産購入を可能にする新部門を立ち上げたと報じられている。
ニューヨーク・タイムズによると、クリスティーズ・インターナショナル・リアルエステートは、仮想通貨を使って銀行を介さずに取引を行いたい売主と買主のニーズに対応するため、仮想通貨の専門家、弁護士、アナリストで構成されたチームを設置した。
クリスティーズ・インターナショナル・リアルエステートのアーロン・カーマンCEOは、ビットコイン(BTC)によるカリフォルニア州ビバリーヒルズの6500万ドルの住宅購入を含む、大規模な仮想通貨不動産取引の成功を受けてこのサービスを開始したと述べた。
クリスティーズは2022年にイーサリアムを基盤としたオークションプラットフォームを立ち上げるなど、非代替性トークン(NFT)の競売に長年取り組んでおり、今回のサービスもその延長線上にある。
オークション市場ではサザビーズと並んで大手であるクリスティーズは、2024年に57億ドルの売上を記録した(前年比6%減)。サザビーズは同年、60億ドル(23%減)を売り上げたとされる。
富裕層の不動産購入を匿名化する仮想通貨
カーマン氏は、仮想通貨による不動産購入はまだ珍しいものの、富裕層の間では匿名性を保つ支払手段として普及しつつあると述べた。
著名人や超富裕層は従来から、自らの名前ではなく法人や信託を通じて不動産を取得することで、所有の痕跡を隠す傾向にある。しかし、法人名義の物件でも、ネット上の調査で本人に結び付けられるケースが少なくない。
これに対し、仮想通貨を利用することで取引履歴をさらに追跡しづらくできるという。カーマン氏によれば、クリスティーズでは売主でさえ買主の身元を知らない取引もあり、「買主の身元を守ることに非常に成功している」という。
仮想通貨で購入可能な10億ドル規模の不動産
クリスティーズは、仮想通貨での購入を受け入れる不動産を10億ドル分取り扱っており、ロサンゼルスからジョシュア・ツリーに至るまで、数百万ドル規模の物件が対象となっている。
ジョシュア・ツリーに1800万ドルの物件を出品中のクリス・ハンリー氏は、「仮想通貨を受け入れることは、革新的な買い手に開かれているというメッセージになる」と述べた。「そうした買い手の中には、現実世界資産で分散投資を図る仮想通貨の億万長者たちも含まれている」。
米国の住宅ローン市場も仮想通貨を検討
カーマン氏はまた、銀行と連携して仮想通貨を用いた融資付き住宅購入の仕組みも模索していると述べ、今後5年以内に住宅取引の3分の1以上が仮想通貨を活用するようになるとの見通しを示した。
先月には、米連邦住宅金融庁(FHFA)が、住宅ローン債権の購入業者であるファニーメイ(米連邦住宅抵当公庫)とフレディマック(米連邦住宅金融抵当公社)に対し、一部の住宅ローンのリスク評価において、仮想通貨を米ドルに換算せずに資産として考慮する提案を準備するよう要請した。
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