新しい調査によると、ビットコイン(BTC)マイニングにおける中国の存在感は、人々が考えているよりも実際ははるかに少ないようだ。
フィデリティと仮想通貨(暗号資産)調査企業のBitOodaが7月16日に公開した調査では、ビットコインのマイニングにおいて中国のマイナーが占める割合は、50%程度の可能性があると指摘している。ケンブリッジ大学の調査では、中国のマイニングにおけるシェアは65%程度といわれていた。
今回のレポートは、フィデリティからの委託でCoinOoodaで実施した調査をまとめたものだ。アナリストらは、様々な公開情報を活用するとともに、マイニング事業者による電力コストなどに関する匿名の情報提供をもとに分析を行ったという。
BitOodaの分析によれば、ビットコインマイニングの14%が米国からのものであることがわかった。一方で、中国の推計値に関しては確定するのが難しく、50%という数値についても解釈の余地があるという。
「私たちの議論は、米国、カナダ、アイスランドのキャパシティの大部分を占めていると考えているが、中国の『世界の残りの部分』のカテゴリーについてはほんの一部に過ぎない」と、説明している。
出典: BitOoda マイニングキャパシティの地理的分布(グラフ右)
中国の雨季による影響は?
調査では、中国のマイニング事業における雨季の影響について分析を行っている。
中国南西部の四川省や雲南省は、5月から10月にかけて大雨のシーズンとなる。これはダムへの巨大な流入となり、水力発電による発電が急増する。これにより安価な水力発電をマイニング事業者が活用できるようになるといわれている。
しかし、BitOodaは「雨季において電力価格低下がハッシュレートを押し上げるという従来の議論について、私たちは反論したい」と述べている。
「私たちの見解では、雨季もしくは水力発電の季節は半年間のコスト曲線を下にシフトさせ、マイニング事業者がキャパシティの成長のために資金を蓄積するため、オペレーション費用への投資が減少する」と指摘している。
分析したチャートによると、雨季においてビットコインの価格は大きく変動しているが、ビットコインネットワークのハッシュレートの平均変化率は雨季と乾季でほぼ同じになっている。
出典: BitOoda, Blockchain.com, Kaiko, Coinmetrics 雨季と乾季におけるハッシュレートとBTC価格の推移
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン