中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元が試験開始から1年半で、総額約2500億ドル相当の取引を行ったと、中国人民銀行の易綱(イー・ガン)総裁が明らかにした。
易総裁は7月19日のシンガポールでの会議で講演し、6月末までに中央銀行デジタル通貨が1兆8000億人民元(約34.9兆円)の取引を行ったと述べた。
易総裁によると、2022年1月のデジタル人民元の最初のロールアウト以降、約1億2000万個のウォレットから約9億5000万回の取引が行われ、平均取引額は約260ドルだった。
7月19日のロイターの報道によれば、易総裁はまた、6月末には約1兆6500億デジタル人民元が流通しており、これは中国の貨幣供給のわずか0.16%に過ぎないと述べている。
デジタル人民元の普及は、中国の14億人の人口に対してはまだごくわずかであり、これまでのところ、デジタル人民元は香港での数回の試験を除き、国内の小売決済に主に使用されている。
7月18日、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、中国銀行の香港法人が香港の一部の小売店で中国銀行の顧客向けにクロスボーダー決済スキームの試験を開始したと報じた。この試験は、デジタル人民元のクロスボーダー応用をさらに推進するために展開され、香港でのデジタル人民元のクロスボーダー試験は3回目だとSCMPは報じている。
昨年の試験では、中国銀行は、顧客に中国銀行のデジタル人民元ウォレットを設定し、香港のスーパーマーケットチェーン「Uセレクト」で使用するために100人民元を配布するプログラムを開始した。
今年1月には、中国人民銀行はデジタル人民元にスマートコントラクト機能を統合し、そのユースケースを拡大した。
今回明らかになったデジタル人民元取引の2500億ドルという数字は、2022年8月に発表された数値から70%以上の増加だ。しかし、この額はまだ、世界最大のパブリック・ブロックチェーンが処理する額からはほど遠い。例えば、ビットコイン(BTC)は2022年に8兆2000億ドルを処理したと、さまざまな報告書で示されている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン