『アフタービットコイン』の著者であり、決済・送金分野の専門家である中島真志教授は、26日の日経新聞に寄稿し、フェイスブック主導の仮想通貨リブラはその完成度の高さから、世界各国から批判を集めていると指摘した。

中島教授は、リブラについて、ビットコインや中央銀行のモデルを研究した「よくできた仕組み」だと評価。考え抜かれた仕組みと、フェイスブックの20億人以上のユーザーベースがあるからこそ、世界各国の当局から強硬な反発を生んだと指摘する。

リブラが複数の法定通貨のバスケットを裏付けとし、需要量に応じた供給量とする柔軟な発行方針を取ることで、ビットコインのような価格の乱高下を防いでいる。

また中島氏の分析によれば、リブラは、香港の「カレンシーボード制」やシンガポールの「バスケット通貨制」、通貨発行によって利益を得る「シニョレッジ(通貨発行益)」など中央銀行のビジネスモデルを多く取り入れている。

考えられるリブラ規制案は?

中島氏は、リブラを全面禁止にするという選択肢は、通貨主権を巡る泥沼の論争を呼ぶ可能性があるため、難しいと述べる。

リブラに対する銀行免許取得義務付け、決済ネットワークSWIFTのような関係国よる「協調監督」が考えられると分析している。

またフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが10月の議会証言で「当局の承認がなければ始めない」と発言していることから、中島氏は2020年前半のローンチは難しいのではないかと予測している。

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