カンボジア国立銀行(NBC)が運営するデジタル通貨「バコン」は、新たに結ばれた覚書(MoU)により、アリペイの加盟店ネットワークへのアクセスを提供し、アリペイ+を用いたQRコードを使ったクロスボーダー取引を可能にする。この覚書はシンガポールのフィンテックエキスポで署名され、地元メディアが報じた

NBCがブロックチェーン上で運営するバコンは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)ではないとされている。この通貨はそれを使用する商業銀行の負債ということになっているからだ。カンボジア経済はドル化が進んでおり、バコンは米ドルとカンボジア・リエルの両方の口座を可能にしている。

今回のMoUにより、カンボジア人はバコンのウォレットからリエルを使って、アリペイネットワーク上の全世界8300万の加盟店で買い物ができるようになる。さらに、中国の大手電子決済システムであるアリペイの口座を持つ中国人観光客は、バコンのKHQRシステムのQRコードを使ってカンボジアで買い物ができるようになる。

NBCのチア・セレイ総裁は、「支払いの簡便さが加盟店の収益を増やし、経済活動を刺激する。アリペイ+とのこの協力が全ての関係者にとって有益になると確信している」と語った。

現地メディアのプノンペンポストによれば、2023年上半期にバコンを使用した取引が3540万件、総額120億ドル(約1兆3200億円)に達したという。

バコンの決済は2020年に開始され、送金や購入のために設計された。そのモバイルアプリは日本のソラミツと共同開発したものだ。8月には、ソラミツがバコンを使用してインド、中国、日本を含むクロスボーダーの決済システムを開発する計画を発表した。バコンはすでにマレーシア、タイ、ベトナムで使用されている。

今年7月には、NBCは中国のユニオンペイ・インターナショナルとQRコードを用いたクロスボーダー決済についてのMoUを署名している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン