ブラジルの中央銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のメリットと影響を評価するための研究グループを立ち上げた。ブラジルの法定通貨レアルをデジタル化することによる効果や影響を、多方面から分析することになりそうだ。
ブラジルの中央銀行によると、このチームはCBDCがブラジルの決済エコシステムにどのように適合し、経済と社会にどのような影響を与えるかを評価する政府間グループの12人のメンバーで構成される。
中央銀行は発表の中で、独自のCBDCの開発によって、紙幣や硬貨の維持コストを削減するといった利点がありえると指摘している。ブラジルでは十分な紙幣が機能的に供給されていることを確認するためだけに、毎年約900億レアル(160億ドル)を費やしている。これはブラジルのGDPの1~2%に充たるが、CBDCを発行することでこのコストが節約される可能性があるという。
中央銀行の研究グループは、このようなメリットに加えて、デジタル通貨によって「中央銀行の戦略目標の1つである金融市民権を後押しする」可能性についても触れている。
「デジタル通貨は、金融政策のツールを作成することに加えて、より安全なマネーの利用を促すことができる」と、研究チームのコーディネーターを務めるアンドレ―ド・カバルカンテ・ネト氏は述べている。研究チームでは、金融包摂や経済成長、取引効率の改善、技術革新など、多方面での影響を評価していくことになるという。
ブラジル中央銀行の情報技術部のラフェエル・サレスデ・アルメイダ氏は、CBDC開発いついて次のように述べている。
「中央銀行が取り組むデジタル通貨というテーマはこれまでの間、多くの中央銀行の研究課題だった。しかし、今年になり、より実用的なアプローチに重点が置かれている」
アルメイダ氏は、中国が既にデジタル通貨の最終テスト段階に入っていること、またほかの多くの金融政策当局が新しいプロジェクトを発表していることも付け加えた。
今年5月、ブロックチェーン企業リップルが、ブラジルの中央銀行との間で「制度的問題」について議論するための会合を持ったことがわかっている。
ブラジル中央銀行のロベルト・カンポス・ネト総裁は、リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOやほかの仮想通貨企業の代表3人とビデオ会議を行った。会合はメディアに非公開だったため、詳細は明らかではないが、ウェブ会議の目的としては「制度的問題」を話し合うためだったという。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン