ステーブルコインのテザー(USDT)の新規発行は、主要な仮想通貨やアルトコインの価格に影響を与えてはいないようだと、ブルームバーグが24日にレポートしている。

 ブルームバーグの今回の記事は、テザーがビットコインやイーサリアム、ライトコインといった主要な仮想通貨の代わりに、EOSやNEOといったアルトコインへの価格影響力が増しているというブロックチェーン調査会社チェーンアナリシスのリサーチペーパーの議論を紹介。しかしブルームバーグは今年8月については、この議論が当てはならないと主張する。

Tether

Chainalysis Tether Price Correlation With Crypto Markets Chart. Source: Bloomberg

 ブルームバーグは、Omniexplorerのデータをもとに、テザーが8月に約5億ドル分の新しいトークンを発行したと書いている。しかし新しいUSDTは8月のEOSやNEOの価格には影響を与えていないと、ブルームバーグは指摘。EOSは37%、NEOは44%、それぞれ下落している事実を挙げる。

 テザーを巡っては今年6月、テキサス大学の研究者が、ビットコインの価格操作にテザーが使われているというリサーチペーパーを出しており、ブルームバーグも報道している。テキサス大研究者によるペーパーでは、ビットコインが昨年12月に2万ドルの最高値を付けたのは、テザーや、テザーと関係があるビットフィネックスによる価格操作によるものだと主張していた。

 またブルームバーグは今年7月、仮想通貨取引所のクラーケンにおいてもテザーの価格が操作されているかもしれないと報道。「大規模トレードの小規模トレードの値動きが一緒」であること、「決まったサイズでトレードされていることが不自然に多い」ことなどを理由に挙げていた。クラーケン側はこの記事に対して「マーケットの基本的な原理を理解していない」と激しく反論している