ビットコイン(BTC)のサイドチェーンである「リキッド(Liquid)ネットワーク」上に構築された分散型取引所(DEX)が7日、アーリーアクセスの形で公開された。
このプロジェクトは「TDEX」と呼ばれ、オープンアルファの段階になった。これは、コンサルティングとホワイトラベリングサービスを提供する企業セブンラボ(Sevenlabs)によって構築されている。
この分散型取引所は、オンチェーン上の取引高を調整する自動マーケットメイカー(AMM)にユニークなツイストを加えている。取引所で使用されるTSWPプロトコルは、アドホックアトミックスワップにフォーカスを充てている。これは、仲介者なしで2つの取引当事者間の取引を行う方法だ。
一般的なAMMとは異なり、特定の交換価格を強制する数式は含まれていない。セブンラボのCEOであるクラウディオ・レヴリーニ氏は、「TDEXは、固定価格戦略の使用、または外部価格フィードとカスタムトレーディングロジックの追加のコントロールを流動性プロバイダーに任せている」と、コインテレグラフに語っている。これは、反面として、プラットフォームに流動性を提供することは、Uniswapなどのプラットフォームよりも複雑になる可能性が高いということだ。
アトミックスワップは、ビットコインやほかのUTXOブロックチェーン上の資産を交換するための分散型の方法として提案されることがよくある。この採用はこれまで制限されていたが、TaprootとShcnorrによる改善提案では、アダプターシグネチャを介してより単純なメカニズムを許可することができる。
リキッドネットワークを手掛けるブロックストリーム(Blockstream)のアダム・バックCEOは、「TDEXは、リキッド上で登場しているDeFi(分散型金融)ソリューションの数が増えている、1つの例だ。私たちはこれを”LiFi”と呼びたい」と述べている。
しかし、リキッドでの集権化の度合いは、特にノンファンジブルトークンのような、イーサリアムで従来から関連づけられている概念を導入する文脈において、過去に批判の対象となっていた。
リキッドは、ビットコインとのペッグの確保とネットワークの検証を行うサイドチェーンだ。これは「ファンクションリー」と呼ばれる取引所やブロックチェーン開発企業による連合体(Federation)で運営されている。ビットコインとのペッグと連合体による運営という設計は、ネットワークにおける信頼性があるという評価もある。
ビットコインコミュニティの一部では、これまで主にイーサリアム上で現れていた分散型取引所やレンディングの世界への道をBTCネットワークに開くことができる、「ビットコインDeFi」作成を求める声が出ていた。
アトミック・ローンズ(Atomic Loans)は現在、借入の担保としてネイティブビットコインを使用する唯一のプロジェ宇都だが、残りのロジックにはイーサリアムを使用している。ほかの「ビットコインDeFi」プロジェクトには、RSK上のメーカーダオ(MakerDAO)アナログであるマネーオンチェイン(MoneyOnChan)、そして現在ではTDEXが存在する。
これらのプロジェクトはいずれも、主にスマートコントラクトの制限により、ビットコインでネイティブに構築されていない。これらの制限により、ブロックチェーンへのトラストレス・ブリッジを作成することが困難となり、サイドチェーンにペッグ・メカニズムを採用する必要がある。
しかし、WBTC(WrappedBTC)の成功が証明するように、DeFiでのビットコイン需要は非常に強い。イーサリアムでロックされているビットコインは、リキッドやライトニングネットワークの合計よりも多くなっている。リキッドで始まったDeFiがこれらの需要を取り込むことができるかが、注目されるだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン