仮想通貨貸付業界が継続的な成長を見せる中、英国拠点の仮想通貨ウォレットプロバイダーBlockchain.comが、金融機関だけでなく、全顧客に対して新たな貸付事業を開始した。同社顧客は、ウォレットで保有しているビットコイン(BTC)を基に、ステーブルコイン「パクソス・スタンダード」(PAX)を直接借りることが可能という。

Blockchain.comは3月10日、2019年8月に開始した金融機関向け仮想通貨貸出事業に加えて、180ヵ国の全顧客を対象に貸出サービス「ボロー(Borrow)」を開始したと、コインテレグラフに対し発表した。

顧客は、ウォレット内の保有BTCを基にPAXを借入可能

ボローにおいて顧客は、自分の(Blockchain.com内)ウォレットで保有しているビットコイン(BTC)を基に、ステーブルコイン「パクソス・スタンダード」(PAX)を直接借りることが可能という。

PAXは、米ドルと1対1の比率で連動する仮想通貨イーサリアム(ETH)ベースのステーブルコインだ。ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の厳しい監視・規制の上で承認されている点が、他のステーブルコインと異なるとされる。Coin360によると、記事掲載時点での時価総額は約2億6600万ドル(約279億円)で、33番目にランクインしている。

Blockchain.comによると、当初はBTCに対するPAX貸付のみをサポートするが、近い将来他の資産も扱うことを計画しているそうだ。同社ブログでは、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ステラ・ルーメン(XLM)のサポートを間もなく提供すると述べられている。

個人投資家への貸出サービスの拡大

Blockchain.com共同設立者兼CEOのピーター・スミス氏は、同社顧客に対する一連のサービスが大幅に拡充されると説明した。特にボローでは、個人投資家が「大物」のように取引できると強調し、機関投資家と個人投資家の目標が同じである点を指摘した。

またプレスリリースにおいて、機関投資家と同じ流動性プールへのアクセスをリテール市場に提供することで、同社は仮想通貨市場の両面で米ドル不足に対処する意向だと明かした。スミス氏は、その中で次のように述べた。

「機関投資家と個人投資家は、富を増やし、リスクを管理したいという同じ財務目標を持っている。しかし、利用可能なツールは大きく異なる。(中略)現在、当社の取引スイートとボローを使用すると、リテールユーザーは、保有した仮想通貨を販売したりウォレットから動かしたりすることなく、大物のように取引できる」


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版