仮想通貨イーサリアム(ETH)ベースのブロックチェーンゲーム関連企業「エンジン(Enjin)」が、人気のゲームエンジン「ユニティ(Unity)」にブロックチェーン技術を組み込める開発キット(SDK)を3月14日にリリースする予定だ。この開発キットにより、ETHのトークン規格ERC-1155に準拠したアセットの配布や管理を手軽に行えるようになる。同社ブログにおいて、3月4日に発表したエンジンは、サムスンの新スマートフォン「ギャラクシー(Galaxy)S10」のパートナーとして選ばれ、同社ウォレットアプリ「エンジン・ウォレット」(Enjin Wallet)がインストールされるという観測も浮上しており、ゲームプラットフォームとしての地位を強化する動きと見られる。

ユニティは、450万以上のゲーム開発者に利用されている人気のゲームエンジン。ユニティCEOのジョン・リッキティエロ氏によると、現在30億のデバイスに380億のユニティベースのゲームがインストールされているという。ユニティは、Windows、iOS、アンドロイド、PlayStation 4ほか、Oculus RiftなどのVRデバイスを含めた30のプラットフォームをサポートしている。

ゲーム開発者は、今回のユニティ向け開発キットを利用することで、ETHブロックチェーン上において、アセット(武器防具などのアイテム)をERC-1155準拠トークンとして作成・配布・統合・管理などが行えるようになる。

ウィテク・ラドムスキ(Witek Radomski)氏が共同設立者兼CTOを勤めるエンジンは、ETHベースのブロックチェーンゲーム内でアイテム売買をしやすくするトークン規格ERC-1155を提唱・開発したことで知られている。ERC-1155は、代替可能(ファンジブル)のERC-20規格と代替不可能(ノンファンジブル)のERC-721規格両方の特徴を備えること、またこれらをまとめて取り扱えることを特徴としている。代替可能(ファンジブル)とは、ゲームでいえば価値が一定の(一般的な)剣や盾などにあたり、代替不可能性(ノンファンジブル)はゲーム内に1つしかない伝説の剣・盾など独自性を備えたものを指す。

またこのERC-1155規格により、ゲーム開発者は、シンプルなスマートコントラクトをゲームごとに用意して、ファンジブルまたはノンファンジブルなアセットを作成可能なことから、トランザクションにかかる時間の短縮や料金(gus)の低減につながるほか、アセットの大量生産が行いやすくなるという。

このほか、ゲーム内のアセット(各種アイテム)をERC-1155トークン化することで、存在するアセットの量と特徴をブロックチェーン上に設定できるようになるため、例えばゲームのバージョンアップなどの際に意図しない変更が発生してしまうといった問題を防止できるという。

エンジンによる発表では、このトークン化によりゲーム間の相互運用性を実現できるとしており、例えばプレイヤーが、あるゲームのアイテムをまったく別のゲームに持ち込むことなどが可能になるという。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版
原文 Blockchain Startup Enjin to Release Dev Kit for Game Engine Giant Unity