10月末に迫ったブレグジットを巡り、英国の政治は混迷を極めている。EUとの合意なしの強硬離脱、いわゆるハードブレグジットの可能性が高まっており、英国の法定通貨ポンドは対ドルで急落している。果たしてこの状況で仮想通貨ビットコインはどうなるのだろうか。
英大手メディア、インディペンデントは3日の記事で、下落するポンドに比べ、ビットコインは安定しているとの声を紹介している。
記事執筆時点で、ビットコインは1万500ドル前後で取引されており、前週比で8.36%上昇している。一方、英国のポンドは一時1.20ドルを下回った。これは1985年以来の水準だ。
出典:@paulmasonnews ポンドの対ユーロでの値動き
※写真の人物は与党保守党のリース=モグ院内総務。深夜の審議で写真のような態度を取り、批判を集めた。
政治的な混乱は英国だけではない。米中貿易戦争やアルゼンチンの通貨危機、香港の抗議デモもある。
インディペンデントは、仮想通貨企業ルノ(Luno)のマーカス・スワンポールCEOのインタビューを引用している。
「週末の相場が不振だったが、ビットコインは昨日、市場のトレンドに逆らい、1万ドルの水準を突破し、1万500ドルにまで達した。今後の焦点は英国のブレグジットの行方、そしてアルゼンチンの危機が深刻化するかどうかだ」
さらにマーケット・ドットコムのチーフアナリストであるニール・ウィルソン氏は、ボンドがハードブレグジットで影響を受けるのに加え、突然の総選挙による不確実性にも悩まされていると分析する。
主要通貨のアイデンティティー危機
インディペンデントは8月にもブレグジットとビットコインとの影響についての記事を掲載している。
その記事では、ブロックチェーン企業のコマースブロックのニコラス・グレゴリーCEOは、ビットコインが世界経済の不安定化でその価値に改めて注目されていると語る。
またグレゴリー氏は、地政学的なリスクのほか、伝統的な金融セクターへの信頼も揺らいでいると指摘する。
「合意なしのEU離脱は2つの主要法定通貨のボラティリティ(変動幅)を高めるだけでなく、世界の主要法定通貨の脆弱性を露わにすることでアイデンティティー危機を誘発することになる」
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編集・翻訳 コインテレグラフ日本版