英国のボリス・ジョンソン首相が10月13日までの1ヶ月間議会を閉鎖すると発表し、ハードブレグジットの可能性が高まっている。ハードブレグジットとは、英国がEUと何も合意をせずに10月31日の期限にEUから離脱すること。経済に混乱をもたらし、ポンドは急落すると言われている。
ただ、ハードブレグジットは仮想通貨には良い影響を与えるという見方がある。ポンド急落で英国人は資金を他の資産に分散する可能性があるからだ。
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実際、ブレグジットによる影響は出始めているのだろうか?
コインテレグラフ日本版は、ポンド・ユーロと仮想通貨の交換サービスを手がけるコインコーナー(CoinCorner)の共同創業者兼CEOであるダニー・スコット氏に話を聞いた。
CT:ボリス・ジョンソン首相が7月24日に誕生してから、口座数は増えたか?
スコットCEO:増えていない。我々のデータによると、ボリス・ジョンソンの首相就任とコインコーナーでの新規口座開設に相関関係はない。新規口座数は、典型的には、ビットコインの価格変化(上昇か下落か)と連動している。価格がこのような世界的イベントに影響されることはめったにない。
CT:ハードブレグジットはあなたのビジネスにどのような影響を与えるか?ネガティブか?ポジティブか?理由は?
スコットCEO:我々のビジネスに対するハードブレグジットの影響について、現時点で、話すことは難しい。我々のサービスはオンラインであり、標準的なトレードの観点からは問題はないだろう。しかし、我々の欧州の顧客に対するサービスに対して影響があるか注意している。
全体的に、コインコーナーは他の多くの英国のビジネスと同じボートに乗っている。ソフトもしくはハードブレグジットが我々に多大な影響をもたらすのか分からない。近代以降のビジネスの世界においては初めてのことだ。そして、実際に起きた時、我々はなんとか対応しなければならなくなるだろう。
CT:ハードブレグジットによるポンド急落を懸念する声もあるが、それはどんな影響を与えるか?
スコットCEO:ブレグジットに関する不透明感から、ポンドはすでに弱くなっている。今日(8月30日)の時点で1ポンドは1.22ドルだ。もしハードブレグジットが起きたら、少なくとも短期から中期にかけて、ポンドが対ドルで等価(パリティー)まで下がると想像することも不可能ではない。
このような状況になれば、代替的な価値保存手段としてビットコインに対する英国市民の興味関心が高まるかもしれない。コインコーナーは、2014年以降、仮想通貨市場で重要なプレイヤーとしての地位を確立しており、需要の高まりをサポートできるだろう。
インタビューは一部編集されています。
コインコーナーは、マン島に拠点を置く仮想通貨取引所だ。スコットCEOは、「犯罪者によるビットコインの利用は過去のものだ」など、積極的に発言をしている。