仮想通貨市場の下落要因を分析する際には、デジタル資産トレジャリー(DAT)の影響を無視できない──コロンビア大学ビジネススクールの非常勤教授オミド・マレカン氏はそう主張している。
マレカン氏は火曜日のX投稿で、「仮想通貨価格の下落を説明する際には、DATの存在を考慮すべきだ」と述べた。「全体として、DATは“資金抽出と退出”のイベントを引き起こし、価格下落の一因となった」と指摘する。
同氏はさらに、「持続的な価値を創出しようとした企業もわずかに存在するが、片手で数えられるほどだ」と付け加えた。
仮想通貨市場の下落については、米中間の貿易摩擦やマクロ経済要因も指摘されている。コインゲッコーによると、ビットコイン(BTC)は10月6日の過去最高値12万6000ドル超から下落しており、過去7日間で9万9607ドルから11万3560ドルの間で変動している。
市場を歪める結果に
多くのDAT企業は仮想通貨へのエクスポージャーを求める投資家から数百万ドル単位の資金を集めたが、マレカン氏は「一部のDAT創業者は手っ取り早く金儲けする手段と見なしていた」と批判した。
「上場企業を立ち上げるには莫大なコストがかかる。SPACやPIPEを利用する場合でも数百万ドル単位の費用が発生し、関与する銀行や弁護士への報酬も膨大だ」と述べたうえで、「その費用はどこかから捻出しなければならない」と指摘した。
DAT企業の多くは、株式発行や転換社債、社債などを通じてレバレッジをかけ、主要仮想通貨の大量保有を進めており、これが市場下落時の強制売却リスクを増幅させるとの懸念も生まれている。
一部の企業は、保有資産をステーキングなどで利回り化したり、レンディングや流動性供給に充てる計画を掲げるなど、投資家を惹きつけようとしている。
「DATが市場全体に与えた最大の損害は、“ロックされたはずのトークン”に実質的な大量売却イベントを生み出したことだ」とマレカン氏は述べ、「多くの投資家がこの問題を見過ごしたことに今も驚いている」と語った。
さらに、「過剰な資金調達やトークンの乱発──たとえロックされていたとしても──は、仮想通貨業界の壊疽だ」と厳しく批判した。
仮想通貨トレジャリー企業が爆発的に増加
資産運用会社ビットワイズが10月に発表したレポートによると、2025年に入ってから新たに48社が自社バランスシートにビットコインを追加し、総計207社が合計100万BTC超(約1010億ドル相当)を保有しているという。
また、イーサリアム(ETH)はDATにおいて2番目に多く採用されており、Strategic ETH Reserveのデータによれば、70社が合計614万ETH(約200億ドル)を保有している。
アナリストは、DAT企業が今後、より大手の数社に集約されると予測している。
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