ビットコインは言論の自由で守られるーーー。
法律事務所カールトン・フィールズのシニアカウンセルであるジャスティン・ウェールズ氏が同僚のリチャード・オヴェルメン氏と共同で、表現や宗教の自由を保証する米国合衆国憲法修正第1条によってビットコンが守られるとする論文を執筆した。
トランプ大統領による「ビットコイン禁止」を懸念する声もある中、仮想通貨業界にとっては朗報かもしれない。
論文のタイトルは「ビットコインはスピーチ:合衆国憲法修正第1条下でビットコインを守るための概念形成に向けたノート」。マイアミ大学が出版する法律関連のジャーナルに先月掲載された。ウェールズ氏は、論文についてビットコイン・マガジンのインタビューに答えている。
ウェールズ氏は、現在の仮想通貨規制の問題点はビットコインを支払い手段や送金手段といった金融という「かなり狭い範疇」でみている点にあると指摘。ビットコインはそれ以外にも「表現のためのコミュニケーションツール」として解釈することが可能で、修正第1条が規定する権利に該当すると解説した。
「(ビットコインとは)、これまでと異なる方法でお互いにコミュニケーションする分散型のネットワークだ」
とりわけウェールズ氏が注目したのは言論の自由。ビットコイン取引は「個人の表現の方法」と考えることができるという。
また両氏は、ビットコインの最初のブロック(ジェネシスブロック)に『英銀行に資金援助』という2009年1月のTIMES紙の見出しが埋め込まれていたことに触れ、「銀行への支援に反対する政治的なメッセージ」が込められていたと指摘。このためビットコイン取引とは政治的な声明と解釈できるかもしれないという。
ただ、同氏はすべてのビットコイン取引が言論の自由で守れるわけではないとも認めている。
「ノードを立てることは結社の自由」
ウェールズ氏は、政府がマイニングやノードを立てることでビットコインのネットワークに参加することを禁止する可能性にも言及した。マイニングは、高度な数学問題をいち早く解くことでビットコインを作成して報酬を得る行為で、ノードはビットコインのネットワークが正常に動いているかを常に確かめて取引の承認を行うゲートキーパーを意味する。
ウェールズ氏はマイニングとノードも修正第1条の観点から禁止することは難しいという見方を示した。
「(中略)ノードを立てるということはどういうことだろう?それは、私がソフトウェアを立ち上げて、全てのビットコイン取引を追跡するためにより大きなネットワークと繋がることだ。それは、結社(の自由)だ!私が、政治的な理由でそのネットワークと繋がりたいと言っているのと同義なんだ」
既報の通り、トランプ大統領はビットコインのファンではないと発言している。具体的な禁止措置までには踏み込んでいないが、今後のネガティブサプライズ要因として米政府による仮想通貨に対する過度な取り締まりを指摘するアナリストもいる。
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