テック株比率の高いナスダック指数は木曜日、半導体メーカーのエヌビディアが好決算と強気見通しを発表したにもかかわらず、取引時間中に4%下落した。人工知能(AI)分野で急速に膨らむ投資への懸念が広がる中、ビットコイン(BTC)もこれに連動し、4月以来初めて8万6000ドルを割り込んだ。

過剰なバリュエーションへの不安が高まる一方で、著名投資家のレイ・ダリオ氏は、差し迫った市場崩壊につながる明確な引き金は存在しないとの見方を示した。ダリオ氏はCNBCに対し、「バブル領域にいることは明らかだ」と述べつつ、金のような希少資産への分散投資を推奨した。

同氏は金融引き締めよりも、富裕層への増税の方が大きなリスクだとも付け加えた。しかし、こうした見解とは対照的に、市場心理は米国の雇用指標を受けて大きく変化した。9月の雇用統計が予想を上回る伸びを示し、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加緩和に踏み切る可能性が低下したとの見方が強まったためだ。

9月の非農業部門雇用者数は11万9000人増となり、前月の減少を反転させた。水曜日に公開された10月FOMC議事録によれば、多くの参加者は「追加の利下げはインフレ高止まりのリスクを高め得る」と指摘している。木曜日には、2026年1月までに2回の利下げが実施されるとの市場予測が低下し、株式とビットコインの投資家は慎重姿勢を強めた。

Cryptocurrencies, Government, Nasdaq, Bitcoin Price, Investments, Markets, United States, Stocks, Donald Trump, National Debt, Price Analysis, Market Analysis
FOMCの目標金利の確率 Source: CME FedWatch Tool

米国債市場のインプライドレートによれば、2025年1月28日時点でFOMCが政策金利を3.50%に設定する確率は20%まで低下し、1カ月前の55%から大幅に縮小した。議事録自体は、多くの政策担当者が早期利下げを支持していないことを示すものの、10月の決定がどれほど僅差だったのかについては明確な手がかりを与えていない。

AI投資の過熱が好決算をかき消す

ウォルマートの予想上振れなど、好調な企業決算が相次いだにもかかわらず、OpenAIのようなAI開発企業による巨額投資が続いていることを背景に、景気悪化への懸念が強まっている。

D.A.デビッドソンのテクノロジー部門責任者ジル・ルリア氏はCNBCに対し、「懸念の核心はデータセンター建設のために企業が巨額の負債を積み上げている点だ」と述べた。

Cryptocurrencies, Government, Nasdaq, Bitcoin Price, Investments, Markets, United States, Stocks, Donald Trump, National Debt, Price Analysis, Market Analysis
データセンター建設支出 (100万ドル). Source: Distilled

ルリア氏は、データセンターは「本質的に投機的な投資」であり、2~3年以内に調整を迎える可能性があると指摘した上で、エヌビディアの好決算は「AI経済が本当に成熟しているかどうかを判断する信頼できる指標ではない」と語った。

ナスダック指数は10月29日の史上最高値からすでに7.8%下落し、過去10週間の上昇分を帳消しにした。投資家はリスク市場から距離を置き始めている。

Cryptocurrencies, Government, Nasdaq, Bitcoin Price, Investments, Markets, United States, Stocks, Donald Trump, National Debt, Price Analysis, Market Analysis
ビットコインとナスダックの30日間相関 Source: TradingView / Cointelegraph

こうした不確実性が高まる中で、ビットコインの値動きはテック株の動きと再び強い連動性を示した。両者の相関性は過去6カ月で最高の80%に達し、投資家がビットコインの分散性や予測可能な通貨政策といった独自の強みよりも、マクロ要因を重視していることが示唆される。

ビットコインのトレーダーが9万ドル割れを弱気と捉えているわけではなく、依然として明確なエントリーポイントを待っている可能性が高い。もしダリオ氏の見立てが正しければ、パニック売りをした投資家は後悔することになるかもしれない。流動性環境は改善する可能性があり、米国の財政赤字問題が続く中、トランプ大統領が掲げる景気刺激策である「関税配当」構想も進展する可能性があるためだ。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

仮想通貨, 政府, ナスダック, ビットコイン価格, 仮想通貨投資, マーケット, アメリカの仮想通貨, 株式, Donald Trump, National Debt, 仮想通貨・暗号資産価格分析, Market analysis