ビットコイン(BTC)は2月25日、8万7629ドルまで下落し、2024年11月14日以来の3カ月ぶりの安値を記録した。

この下落は、米国のビットコイン上場投資信託(ETF)における売り圧力の高まりと連動している。ファーサイドによれば、2月24日には、1日で5億1600万ドルを超える純流出が記録され、6日連続で資金が流出している。

BTC価格の推移  Source: Cointelegraph

2月18日から始まったETFの売りは、この6日間でビットコイン価格を6.2%以上押し下げた。また、2月21日までの2週間で合計11億4000万ドル以上の純流出が発生し、ETFが取引を開始した2024年1月11日以来、2週間の流出額として最も大きくなった。

ビットコインETFのフローSource: Farside Investors

デジタル資産投資プラットフォームNexoのアナリスト、イリヤ・カルチェフ氏は、今回の調整がビットコインの現在の上昇トレンドの持続性に対する懸念を高めていると指摘する。

「ビットコインに対する政治的な支持が増しているにもかかわらず、市場は依然としてマクロ経済要因の影響を強く受けている」と、カルチェフ氏はコインテレグラフに語った。

「高金利と世界的な購買力の低下により、未決済建玉とスポット市場への資金流入が顕著に減少しており、ビットコインの脆弱性を浮き彫りにしている」と述べた。

ビットコインETFの売りが続いている背景には、米国と中国の貿易摩擦が影響している可能性がある。

米国のトランプ大統領は2月20日、中国の習近平国家主席が米国を訪問する可能性に言及し、「米中間で新たな貿易合意が成立する可能性はあるが、具体的な時期は未定」と発言したとロイターが報じた

13億ドル規模の清算

地政学的な要因に加え、仮想通貨市場では2月21日に発生したバイビットの14億ドル規模のハッキングがセンチメント悪化を招いた。

コイングラスによれば、市場のボラティリティの高まりにより、過去24時間で13億ドル相当の仮想通貨ポジションが清算され、約36万2,000人のトレーダーが影響を受けた。このうち、ビットコインの清算額は5億2300万ドルにのぼる。

Crypto liquidation heatmap, 24-hours. Source: CoinGlass 

一方で、今回のビットコインの下落は、過去の市場サイクルと類似しているとの見方もある。

グローバル・マクロ・インベスターの創設者兼CEOのラウル・パル氏は、2月25日のX投稿「現在の調整は2017年の市場構造に似ている」と指摘する。

「2017年には、ビットコインが5回にわたって28%の調整を経験し、それぞれ2〜3カ月続いた」と述べており、今回の下落も市場サイクルの一部である可能性を示唆した。

2017年のビットコインのサイクル Source: Raoul Pal