11日の仮想通貨相場は、下落傾向を止めることができず、ほぼ全面安の展開だ。元IMFのチーフエコノミストが「ビットコインは100ドルが妥当」という発言をする一方、ヘッジファンド界の巨頭、マイク・ノボグラッツ氏は「革命は一夜にして起こらず」と前向きな見方を示した。今後の仮想通貨の展望をめぐって悲観論と楽観論が出ている。

Market visualization from Coin360

昨日3500ドルのサポートに失敗した後、ビットコイン(BTC)は一時3400ドルを下回った。ここ1週間を振り返ると、7日に3280ドル付近をつけたのが最安値だ。

執筆時点でビットコインは3400ドルより上の水準で推移しており、過去24時間で約2%のマイナスとなっている。

Bitcoin 7-day price chart. Source: CoinMarketCap

仮想通貨市場に占めるビットコインの割合(ドミナンス)は、現在55.1%。過去6ヵ月間で着実に上昇している。

Bitcoin Market Dominance 1-year chart. Source: CoinMarketCap

時価総額第2位のリップル(XRP)は、約1%の下落。0.29ドル付近で取引をしている。0.3ドルを割るのは9月17日以来初めてだ。

Ripple three-month price chart. Source: CoinMarketCap

時価総額第3位のイーサリアム(ETH)は、過去24時間でほぼ3%の下落。2017年5月以来初めて90ドルを下回った。執筆時点でイーサリアムは、88ドル付近で推移している。

Ethereum all-time price chart. Source: CoinMarketCap

仮想通貨市場全体の時価総額は、再び1100億ドルを下回った。現在、1078億ドル付近で推移している。

Total market capitalization 7-day chart. Source: CoinMarketCap

元IMFのチーフエコノミストVS. ヘッジファンド界の巨頭 マイク・ノボグラッツ 

11日は、今後の仮想通貨市場をめぐって、悲観論と楽観論の双方が出た。

元IMFのチーフエコノミストであるケネス・ロゴフ氏は、英紙ガーディアンへの寄稿の中で、仮想通貨は残念な未来で力を発揮するくじ引き券みたいなもの」とし、ビットコインについてゼロになるとは限らないとしつつも、「長期的には10万ドルになるより100ドルになる可能性が高い」と発言。

現在はハーバード大学で経済学の教授を務めるロゴフ氏は、仮想通貨は「プライバシーを既に失った国」や「野蛮な国」で使われるとし、ベネズエラが最初に国産の仮想通貨ペトロを発行したのは偶然でないと指摘。先進国が、民間が作っている「監視と追跡のしにくい」仮想通貨の仕組みを取り締まるのは時間の問題で、去年の日本のように「仮想通貨を受け入れるというような愚かな行動に出た先進国はいない」と述べた。その上で、日本もその後、仮想通貨と距離を取り始めたようだと付け加えた。

一方、ヘッジファンド界の巨頭マイク・ノボグラッツ氏は、相場が低迷している中、ビットコインに強気な姿勢を崩していない。ブルームバーグとのインタビューの中で、最近の急落についても「革命は一夜にして起こらず」と冷静な見方を示した。

「私は、従業員に対して、『俺たちは次の波を待つサーファーで今は体を絞っている最中だ』と話している。次の波が来た時、俺たちは仮想通貨界のレイアード・ハミルトン(世界的なサーファー)になっているはずだ」

ノボグラッツ氏は、元ゴールドマンサックスで、現在は仮想通貨投資会社のギャラクシー・デジタルのCEOを務めている。