仮想通貨マイニング企業ビットデジタルが、ノースカロライナ州マディソンの産業施設を取得し、AI(人工知能)や高性能コンピューティングへの戦略的転換を含むビジネス多角化戦略を強化している。
規制当局への提出書類によれば、ビットデジタルは同社の完全子会社であるカナダのEnovum Data Centers Corpを通じて、5,320万ドルで当該不動産の購入に合意した。この投資には225万ドルの初期デポジットが含まれ、そのうち120万ドルは返金不可となっている。取引は5月15日に完了する見込みだ。
ビットデジタルの規制当局への提出は、カナダのケベック州における新たなTier 3データセンター施設の発表とほぼ同時期に行われた。このケベック施設はAIインフラプロバイダーであるCerebras Systemsとの5メガワットのコロケーション契約をサポートするものだ。
ケベック施設はTier 3基準を満たすため、約4,000万ドルの改修工事が行われている。Tier 3基準は、重要システムの高い信頼性と継続的な運用を確保するための厳格な要件だ。
ビットデジタルのサム・タバーCEOは当時、ケベック事業について「目的に特化したAIインフラを大規模に提供するという当社の戦略において、継続的な勢いを示している」と述べた。
多角化を迫られるマイニング企業
仮想通貨価格の変動と、4年ごとのビットコイン半減期サイクルによる収益圧迫に直面し、複数のマイニング企業が既存のインフラを活用して、他のデータ集約型ワークロードへの転換を図っている。Hive Digitalのようなマイニング企業は、AIデータセンターが仮想通貨マイニングよりも潜在的に高い収益源を提供すると主張している。
経済的苦境の最新の兆候として、ザ・マイナーマグ・パブリケーション社のデータによれば、上場ビットコインマイニング企業は3月に保有ビットコイン(BTC)の40%以上を売却した。
コスト管理ができない上場マイニング企業は、ビットコイン事業の維持に最も苦戦しており、経営陣は代替収益源を模索するよう、より大きなプレッシャーにさらされている。
コインシェアーズの10月の報告書によれば、収益性の低いマイニング企業ほどAIやその他のワークロードへの方向転換を行う可能性が高いという。