世界最大の仮想通貨取引所バイナンスのジャオ・チャンポン(通称CZ)CEOは8日、バイナンスで起きた巨額ビットコインのハッキング事件にツイッターで声明を出し、「ハッカーや詐欺師と戦うこの業界の『団結力』に感謝する」述べた

資金援助を申し出た関係機関やハッカーのアドレスをブロックすることに協力的な取引所に謝意を示した。現在、出入金再開に向けて努力していると述べ、「もう少し時間がかかる」という見通しを示した。

バイナンスは7日、ハッキングによる「大規模なセキュリティー侵害」によって7000BTC(約44億円が引き出されたと発表。被害を受けたのはバイナンスのビットコイン保有量の2%が保管されているホットウォレット(オンラインでの資金を管理するウォレット)だけで、他の全てのウォレットは安全と説明した。

今回のハッキング事件を受けて、仮想通貨相場は全面安の展開となっている。執筆時点(5月8日正午)までの24時間でイーサリアム(ETH)は5%以上、リップル(XRP)2%は、ビットコイン(BTC)は2%以上のマイナスとなった。

(出典:Coin360

最近、仮想通貨相場にとってはネガティブな材料が相次いでいる。

先月末にニューヨーク州の司法長官が巨額資金損失の隠蔽容疑でビットフィネックスとテザーを訴追。その後、これまで米ドルと1対1で連動すると主張してきた”ステーブルコイン”テザーが、実は4分の3ほどしか米ドルで裏付けられていないことが明らかになった

トロンCEOが支援策提案の一幕も

バイナンスハッキング事件を受けて仮想通貨トロン(TRX)の創設者兼CEOであるジャスティン・サン氏が支援策を提案した。

「バイナンスをサポートするために、私はバイナンスに個人的に7000BTC分のUSDT(4000万USDT)を預け入れ、BNB、BTC、TRX、BTTを買おうと思う。もしバイナンスのCZが賛成すればだが。FUD(恐怖、不安、疑念)の必要はない。ファンドはSAFUだ!」

このツイートを受ける形で、時価総額10位のトロン(TRX)は上昇している。

(出典:CoinMarketCap「トロン/米ドル(1日)」)

バイナンスのCZは、この提案に対して礼を述べ、保険のために用意されたSAFUファンドがあり、損失負担には十分だと述べた。