仮想通貨取引所大手バイナンスは、国内で完全に規制された新たな子会社を設立する手続きを開始した。この動きは2022年11月に仮想通貨取引所サクラ・エクスチェンジ・ビットコイン(SEBC)を買収したことに続くものだ。

バイナンスは仮想通貨取引所の中で一番の取引高を誇る取引所だ。SEBCは5月31日をもって現行のサービスを停止し数週間後にバイナンスジャパンとして再開する予定だ。これまでの国内バイナンスユーザーはバイナンスジャパンに登録しなおす必要があり、移行は2023年8月1日以降可能となる。これには新たな本人確認プロセス(KYC)が含まれる。

SEBC取引所に残っている資金は全て自動的に日本円に換算され、6月からユーザーの銀行口座に振り込まれるという。

各国における仮想通貨規制が厳格化する中で、バイナンスは現地取引所の買収によって新たな市場に進出する戦略をとっている。例えば2021年にシンガポール、2022年にマレーシア、最近ではタイで現地取引所を買収している。

バイナンスによれば、日本ではレバレッジ取引などの仮想通貨デリバティブサービスを提供しない。また、今後は日本居住者にはバイナンスのグローバルバージョンにおけるデリバティブ取引サービスを提供しないという。

バイナンスは「今後、日本でのサービス提供を充実させる予定で、全面的に遵法な形でデリバティブサービスを提供できるよう、規制当局と密接に協力するつもりだ」としている。

一方日本国内ではビットフライヤーやコインチェックなど先行者が鎬を削っており、バイナンスジャパンがどのような戦略を打ち出してくるかはまだ明らかでない。

日本は仮想通貨規制を導入した最初の国の一つとして知られる。規制が厳しすぎると一部ユーザーから批判を浴びる一方で、仮想通貨取引所FTXが昨年破綻した際には、日本ユーザーの資金が保全されたとして評価されている。