仮想通貨取引所FTXは、テラ(LUNA)、スリーアローズキャピタル(3AC)、セルシウス、ボイジャーを含む他の多くの失敗したプロジェクトの列に加わり、破産を申請した。企業や投資家が被った数十億ドルの損失を受け、最大の仮想通貨取引所バイナンスのチャンポン・ジャオCEO(通称CZ)は、近い将来、規制による監視が強化される時代を想定している。
最大の仮想通貨企業の1つが一夜にして倒れたことで、CZはこのエピソードが業界にとって壊滅的であり、多くの消費者の信頼を奪ったと考えている。インドネシアで開かれたフィンテックサミット2022で、彼は次のように語った。
「基本的に、我々は数年前に後退させられたと思う。規制当局がこの業界をもっともっと厳しく監視するのは当然で、それは正直言って良いことかもしれない」
仮想通貨の規制は、歴史的に本人確認(KYC)とマネーロンダリング対策(AML)を中心に回ってきた。しかし、CZは、規制はビジネスモデルや準備金の証明(プルーフ・オブ・リザーブ)など、取引所運営に焦点を当てる必要があるだろうと指摘する。その結果、仮想通貨ビジネス運営に関する規制強化が近いうちに導入されることになるだろうと予測する。

FTXの破綻は、短期的には個人投資家に影響を与えるに違いないが、長期的には、仮想通貨エコシステム全体のリスクをどう扱うかという議論につながることになるだろう。FTXについて、CZは次のように語っている。
「この3日間は、問題の発覚に過ぎない。問題はもっと前からあった。この問題はこの3日間で生まれたものではない」
CZは、FTXに関する最大の問題はアラメダ・リサーチの財務問題だと指摘する。同社の財務がFTXトークン(FTT)だけで満たされており、バイナンスのFTT保有額(当時20億ドル以上)を売却する決定を確信させたと話す。
FTXのCEOであるサム・バンクマン-フリード氏は、「多くの面から見て意味のない」取引でCZに接触した。同時にCZは、ユーザーを保護するための店頭販売(OTC)取引を希望していたという。
「当初はユーザーを救おうと考えていたが、その後ユーザー資金の不正流用のニュースや、特に米国規制当局の調査により、(もう)手を出せないということになった」
CZは、透明性を高め、仮想通貨監査やコールドウォレットの情報について規制機関を教育することで、業界をより健全なものにできると考えている。ルールの適切なバランスを見つけることは難しいことではないと言う。
CZは、秘密鍵を保存するための簡単なツールやほかのセキュリティ機能の必要性を強調しながらも、仮想通貨エコシステムは大きな飛躍ではなく、段階的に成長するものだと主張した。