民主党のジョー・バイデン元副大統領は17日、「私はビットコインを持っていない」とツイートした。

バイデン氏は16日に起きたツイッターアカウントの大規模乗っ取り事件の被害者の一人。今回のツイッター乗っ取りでは多くの著名人から仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)を送金するとの偽のツイートが流されているが、バイデン氏からはビットコインが送られることはないようだ。

「私はビットコインを持っていないため、私から送って欲しいと頼むことはないだろう」

一方で民主党の大統領候補であるバイデン氏は自身からビットコインを送ることはないとしながらも、ツイッター上で寄付を行うように呼びかけている。ただ、同氏は仮想通貨による寄付は受け付けていない。

ツイッターアカウントを乗っ取られたのはバイデン氏だけでなく、米前大統領のバラク・オバマ氏やビル・ゲイツ氏、イーロン・マスク氏などが相次いで被害にあった。

今回の事件についてはツイッター社から「組織的なソーシャルエンジニアリング攻撃」が行われたと発表が出ている。

ソーシャルエンジニアリング攻撃とは、コンピューターやネットワークなどを使わずに、物理的な覗き見などでパスワードなどの情報を盗み取り、機密情報にアクセスする手法。

このソーシャルエンジニアリング攻撃を受けて、ツイッター社内でユーザーアカウントにアクセス権限を持つ従業員が標的となったことがわかっている。

FBIが捜査開始、最初の被害は著名トレーダー

ロイター通信などによると、こうした事態を受けて、ツイッターの大規模乗っ取り事件について米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始。ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスなど連携し、調査を進めている。

一方で、仮想通貨メディア、ザ・ブロックでリサーチャーを務めるラリー・チェルマック氏によると、今回の攻撃により最初に攻撃を受けたのは著名仮想通貨トレーダーのAngeloBTC氏であることがわかっている。

同氏は15万フォロワーを抱えるインフルエンサー。チェルマック氏によると、ツイッターが乗っ取られた後にAngeloBTC氏がテレグラム上の偽の有料グループに誘導しようとしたという。

日本人も被害か

既報の通り、仮想通貨分析企業チェイナリシスは、今回のツイッター乗っ取りについての分析を始めている

チェイナリシスは今回のツイッター大規模ビットコイン詐欺師に送られたビットコインを追跡。20時間ほど前の時点でbc1qxy2kgdygjrsqtzq2n0yrf2493p83kkfjhx0wlhというメインのアドレスに送られたビットコインは最大で12万ドル(約1280万円)ほどで合計で375回の送金があった。これらのビットコインはまだ仮想通貨取引所で現金に交換されていないという。

さらにチェイナリシスによると、今回最大の被害者は日本人である可能性があるという。日本の取引所と該当するウォレットの以前の取引記録からチェイナリシスは推測した。被害額は4万ドル(約430万円)に上った。そのほかの被害額は少額でほとんどが米国の取引所から来ているという。