オーストラリア議会の上院委員会が、ブロックチェーンを用いた国による土地登記所の設立、スマートコントラクトに関連する法律の明確さの向上、分散型台帳技術の国際的基準を設けるための取り組みの継続を求める報告書を公開した。
オーストラリアをテクノロジーおよび金融の中心地にするための取り組みを議論している特別委員会の第二次中間報告書では、ブロックチェーン、消費者データ、企業税制などに関わる23の提言が出されている。
そのうち5つの提言ではブロックチェーンとデジタル資産について明確に触れられており、金融規制委員会のサイバー関連ワーキンググループがデータに関する国際的な基準を考慮することなども盛り込まれている。
委員会は、民間と公共部門の両方で行政プロセスを効率化するための方法を明らかにするために、ブロックチェーンを活用した国による土地登記所を国と各州によるレグテック分野での協力のためのテストプロジェクトとして、オーストラリアの国家内閣が支援することを検討するよう提言した。
「委員会はブロックチェーンが土地登記の分野での効率性を高める可能性に関して特に強調したい。そして、この課題を内閣がさらに追及するよう提言する」
報告書の最後で、委員会はデジタル資産の規制をより分かりやすく確かなものとする必要があることを指摘し、オーストラリアの法律におけるスマートコントラクトの「不確かな状況」に関して業界関係者らから懸念があったことを明らかにしている。
委員会の聴取に対しては懸念こそ伝えられたものの、その解決策についてはあまり情報を得られなかったようだ。「委員会にはそうした規制が必要であるという様々な証言は伝えられたが、その規制を具体的にはどのように作るのが最適なのかについてはあまり聞くことができなかった」という。
その代わりに、委員会はオーストラリア政府が「スマートコントラクトの状況を更に明確にするための最善の方法を検討する」よう提言した。
報告書では産業・科学・エネルギー資源省が国家ブロックチェーンロードマップの進展に関して定期的に発表をし、業界が発展するにつれてロードマップの見直しと更新を行うよう求めている。
今後、委員会は一連の調査の最終段階において、キャピタルゲインの仮想通貨取引への適用方法を見直し、中央銀行による仮想通貨とステーブルコインが規制へとどんな影響をもたらすかについて更なる検討を行う予定であるとしている。