麻生太郎財務相は18日に開かれた財政金融委員会で、NFT(ノンファンジブル・トークン)について「新しい技術でイノベーションに取り組むことは喜ばしい」と肯定的な意見を示した一方で、「下手をすると投機マネーにもなりうる」と警戒を促した。日本維新の会の音喜多駿議員の答弁に答えた。

麻生大臣はNFTについて、「コンテンツの管理とか、取引に有用である」と話したが、作品が高額で取引されていることから「様々な主体が安全性の確保や利用者保護を考えてもらいたい。簡単に騙されることはありうる」と指摘した。

一方で、文化庁の出倉功一審議官もNFTに関しては「来歴管理などから真贋判定や収益還元が可能」として、アート業界の市場活性化に有用だと意見を述べた。

音喜多議員はさらに、FATF(金融活動作業部会)のガイダンスでは、NFTを監視対象に含める可能性が示されていることから、NFTのイノベーションに影響が出るのではないかと懸念。音喜多議員は「金融庁として主体的に働きかけて欲しい」と呼びかけた。これに対し麻生大臣は「FATFには(イノベーションの)芽を潰すのではなく、(マネロンなどを)抑えるように働きかけていく」と話した。

VASPの定義「難しい」

音喜多議員はさらにFATFのVASPの定義について「非常に曖昧で、規制が際限なく拡大する可能性がある」と懸念を示し、日本政府の対応を聞いたところ、麻生大臣は「きちんとしないと」いけないとしつつも、次々と新しいものが生まれていることで「定義を明確化する話がなかなかできない」と話した。