仮想通貨市場において、長らく待望されていたアルトコインへの資金回帰が本格化しつつある可能性がある。スイス拠点のデジタル銀行シグナムは、2025年第3四半期の投資見通しの中で、規制の明確化、流動性の回復、オンチェーン活動の活発化といった要因が、アルトシーズンの幕開けを後押ししていると指摘した。
今年前半には、地政学的リスクや米国の財政不透明感からアルトコイン全体に売り圧力がかかっていたが、シグナムは「市場構造の変化がアルトシーズンを再点火させる可能性がある」と述べている。
「規制の明確化がアルトコインにも及ぶことで、経済的ユースケースが明確で、持続可能なトークンモデルを持つプロジェクトに資金が向かう可能性がある。その動きはすでに一部のセクターで始まっている」と、レポートは記している。
また、地政学的および通商関連のマクロ要因が強まる中で、2021年以来の水準に達していたビットコインのドミナンスが、最近では6%以上低下していることも、資金の一部がアルトコインへ戻りつつある証拠とされている。
ビットコインは供給逼迫で最高値更新
レポートでは、ビットコイン(BTC)の流動性環境について「極めて強気」との見解が示された。需給の不均衡が続いており、時価総額で最大の仮想通貨であるビットコインは、7月14日に12万3000ドル超の過去最高値を記録した。
「ビットコインETFの運用資産残高は1600億ドルを突破し、直近の四半期だけで11万BTC超を積み増した」とシグナムは述べている。イーサリアム(ETH)もそれに続く形で、取引所での残高が減少し、ETFへの資金流入が続き、流通供給量の約30%がステーキングされているという。
イーサリアムに関する市場の評価も、ペクトラ・アップグレードの成功により転換点を迎えている。同アップグレードではステーキング上限の引き上げや複数のプロトコル改善が実装された。米証券取引委員会が、プロトコルステーキングは証券法の対象外であると明確にしたことも、この動きを後押ししている。
シグナムは「機関投資家の需要が急増しており、イーサリアムは長期下落トレンドを明確に上抜けた」と指摘。シャープリンクによる10億ドル規模のETH配分計画に加え、BNYメロン、ソシエテ・ジェネラル、トランプ氏支援のUSD1ステーブルコインといったウォール街の大手によるトークン化およびステーブルコイン事業も、イーサリアム上で次々と始動している。
DEXの市場シェア30%に到達
分散型取引所(DEX)の市場シェアは過去最高を記録し、前四半期には仮想通貨の現物取引全体の30%を占めるに至った。ミームコインのローンチが取引高を押し上げ、DEX取引高は5300億ドルに達したという。
この急騰はBNBチェーン上のパンケーキスワップが主導し、ソラナ上ではパンプスワップがレイディウムを急速に追い抜いたとレポートは述べている。
また、DeFiレンディング市場の預かり資産は700億ドルで過去最高を更新し、ETH供給量のうち流動ステーキングが30%を突破。シグナムは「DeFiレンディングは相場上昇の恩恵を最も受けやすいセクターのひとつであり、投資家がリスクを取ってレバレッジを高める中で、アクティブローンが過去最高に達している」と分析している。
一方で、同レポートは。現在のアルトコインの勢いが続けば、ミームコイン主導のバブルが再燃し、過去の例にならって急激な調整に見舞われる可能性があると警告している。
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