仮想通貨取引所BTC-e(現在は廃業)の元運営者とされるアレキサンダー・ヴィニック被告の担当弁護士が、ヴィニック被告がハンガーストライキを始めることを発表した。ロシアの国営通信社TASSが今月23日に報じた

39歳でロシア国籍のヴィニック被告は11年に起こったマウントゴックスの関係していたとの噂もある人物だ。40億ドル相当のビットコイン(BTC)の不正取得とマネーロンダリングを行った容疑で米国検察当局に昨年起訴されている。

ヴィニック被告の代理人である弁護士団体の代表ティモフェイ・ムサートフ氏は、同被告が今回ハンストを行う理由について、「ヴィニック氏がフランスそしてギリシャで被告の権利を剥奪された」ためと説明している。同弁護士はさらに、「(フランスが発行した)欧州の逮捕状は失効していることが明らかになった」と述べた。

17年、ギリシャの最高裁判所はヴィニック被告の米国への引き渡しを命じた。同被告はマネーロンダリングと詐欺の罪で米国当局から起訴されている。

そして今年6月、ギリシャの裁判所は同被告をフランスに引き渡す判決を下した。TASSが伝えたところによると、ギリシャ最高裁は11月19日、同被告のフランスへの引き渡しについて議論したが、その判決を同月29日まで延期した。

また弁護団のムサートフ氏は、ギリシャ最高裁がヴィニック被告と同被告の弁護士集団の意見を無視していると主張している。

「ギリシャ最高裁の判事は、請願書を提出することすらできない弁護士の主張を完全に無視している。判事は、主張したり請願したりする機会を弁護士に与えていない」

「公正な裁判が受けらなければ、ヴィニック氏は必然的にフランスを介して米国に強制送還され、そこで死刑と同等の終身刑に近い刑を受けることになる」とムサートフ氏は述べた。

続いてムサートフ氏は、(ハンストの背後にある)ヴィニック被告の論理的思考をさらに明確にし、「この状況を観察した上で、ヴィニック氏は公正な裁判を受けられないのであれば死ぬしかないことを悟った」と述べた。

弁護団の代表であるムサートフ氏はさらに、ヴィニック被告が「他にどうしようもないことを理解し、現状況に抗議するため月曜日にハンストを開始することを決めた」ことを説明した。

ムサートフ氏によると、ヴィニック被告は、同被告のギリシャの弁護士であるゾエ・コンスタントポウロウ氏が今月19日の裁判で「裁判所は、ロシア人というだけでアレキサンダーを冷遇したのと同じようにEU市民やギリシャ国民を扱うことはないだろう」と率直に述べた際に、その考えに至ったという。

今週コインテレグラフが報じたように、コンスタントポウロウ氏はまた、ヴィニック被告の要請に応じて裁判所記録の翻訳を提供しなかったことで同被告の権利を侵害したとしてギリシャ最高裁を非難している。