豪州議会のフィンテック(金融技術)およびレグテック(規制技術)に関する上院委員会は、中間報告書を発表した。レポートの中では、ブロックチェーン技術について50回以上言及し、同技術活用に対して期待感を示している。

このレポートでは、豪州がどのように「技術を採用し、世界的に競争力を持つようになる」ことができるかについて、多数の提言を行っている。

豪州では9月2日に4~6月期の実質GDP(国内総生産)が前期比で7%減となり、2四半期連続でマイナス成長となった。これにより豪州は29年ぶりの景気後退入りとなった。この委員会の委員長を務めたアンドリュー・ブラッグ氏は、「豪州は30年ぶりの景気後退に直面しており、さらなる雇用が必要なことは明らかである」と述べ、次のように語っている

「この中間報告書では、一連の迅速な成功、つまり新しい仕事とより多くの選択肢をみることになることを願っている」

 

この中間報告書では、ブロックチェーンと分散型台帳技術(DLT)について数十か所で言及されており、ブロックチェーンの可能性は「5年以内に年間1750億豪ドル、2030年までに3兆豪ドルと推定される」というコメントを引用している。

豪州のブロックチェーン企業パイパーアルダーマン(Piper Alderman)のパートナーであるマイケル・バチーナ氏は、ブロックチェーンのユースケースは金融および規制セクター全体を指数関数的に成長させるものだと委員会で述べており、これも中間報告書で引用されている。

「ほとんどのフィンテックおよびレグテックのプロジェクトは、次の10年で分散型台帳技術またはブロックチェーンで主に構築されるか、それを重用するようになるだろう」

またレポートの中では、仮想通貨(暗号資産)を使った資金調達手法であるイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の税処理などの規制のフレームワークについて、ブロックチェーン開発を阻害するのではなく促進するためにしなくてはならないと提案している。

プロックチェーンを使った電力プロジェクトを手掛けるパワーレッジャーの共同創設者兼会長であるジェマ・グリーン氏は、ICOを通じて260億ドル以上が調達されたが、豪州はこのうちの1%未満でしかなと強調。グリーン氏は、新しい税制を実施することにより、「その260億ドルのパイのより大きな部分を獲得する」機会を利用することができ、豪州で「数百万人の雇用」をもたらすことができると、委員会で語った。

中間報告書の中で引用されているブロックチェーン技術のユースケースとして、不動産データおよび投資の報告作成や管理ツールとや、認証分野でのブロックチェーン活用などに言及されている。

また農業大国である豪州にとって、農業を発展させる不可欠な技術としてブロックチェーンを位置付けている。豪州最大の農業団体である全国農業者連盟(NFL)は、このセクターが2030年までに1000億ドルに成長すると予測している。「革新的な技術が農業部門の唯一の未来である」と、今回のレポートを作成した上院委員会のブラッグ委員長は指摘している。

この上院委員会による最終報告書は2021年4月に提出される予定だ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン