ローソク足は、一定期間における株の4本値(始値、高値、安値、終値)を、1本の棒状で表したものだ。ローソク足を並べた株価チャートを確認すれば、相場の状態やトレンドを一目で把握できる。

初心者が株式投資で利益を得るには、代表的なローソク足の種類や特徴、パターンを理解しておくことが大切だ。今回は、実際の株価チャートを使いながら、ローソク足から株の売買タイミングを判断する方法を解説する。


株価チャートのローソク足とは

ローソク足チャートの具体例

出所:SBI証券 日経平均株価のチャート

ローソク足を見ればいくらで取引が始まり、どのような値動きをして、いくらで取引を終えたのかがわかる。始値より終値が高い場合を「陽線」、始値より終値が低い場合を「陰線」という。

  • 始値(はじめね):最初に取引された価格
  • 高値(たかね):最も高く取引された価格
  • 安値(やすね):最も安く取引された価格
  • 終値(おわりね):最後に取引された価格

ローソク足 陽線の解説

ローソク足陰線の解説

1本のローソク足が示す期間は1分(分足)、1日(日足)、1週間(週足)、1カ月(月足)などがある。


ローソク足の種類と特徴

ローソク足は長さや陽線・陰線の別、ヒゲの有無などによってさまざまな形が作られる。ローソク足の種類を理解すれば、その形からトレンドの転換点や売買タイミングの判断が可能だ。ここでは、代表的なローソク足9種類の形と特徴を確認していこう。


①大陽線
 

大陽線

大陽線(だいようせん)は、通常より長い陽線のことだ。株価が大きく上昇するときに作られるため、買いの勢いが強まっていることを意味する。特に上下のヒゲがない場合は上昇一辺倒であり、投資家が強気の状態にあると判断できる。

大陽線が出現すると、買いの勢いが長く続く可能性がある。


②大陰線

大陰線
大陰線(だいいんせん)は、通常より長い陰線のことだ。大陽線とは反対に、株価が大きく下落したときに作られるため、売りの勢いが強まっていることを意味する。特に上下のヒゲがないときは下落一辺倒であり、弱気のサインといえる。

大陰線が現れると、その後も売りの勢いが続く可能性があるので注意しよう。


③小陽線

小陽線
小陽線(しょうようせん)は、長さが比較的短い陽線のことだ。始値より終値のほうが高く、株価は上昇しているが、大陽線ほど買いの勢いは強くない。買いの勢いが持続するかは不透明で、もみ合い局面が続くこともある。

ただし、小陽線が連続して出現する場合は、買いの勢いが増して株価が大きく上昇する可能性がある。


④小陰線

小陰線
小陰線(しょういんせん)は、長さが比較的短い陰線のことだ。始値より終値のほうが安く、株価は下落しているが、大陰線ほど売りの勢いは強くない。小陽線と同じく、もみ合い局面が続くこともある。

小陰線が連続して出現すると株価は下落基調にあり、売り圧力が強まって大きく下落することもあるので注意が必要だ。


⑤上影陽線

上影陽線
上影陽線(うわかげようせん)は、長い上ヒゲがある陽線のことだ。一時的に大きく値を上げたものの、最終的には始値をやや上回ったところで取引を終えている。

安値圏で出現すると、株価が上昇へ転じるサインとなる。一方で、高値圏の場合は上値の重たさを表し、下落に転じることもある。


⑥上影陰線

上影陰線
上影陰線(うわかげいんせん)は、長い上ヒゲがある陰線のことだ。一時的に大きく値を上げたがその後は下落し、最終的には始値をやや下回ったところで取引を終えている。売りの抵抗の強さの表れであり、高値圏で出現すると下落トレンドへ転換するサインとなる。


⑦下影陽線

下陰陽線
下影陽線(したかげようせん)は、長い下ヒゲがある陽線のことだ。一時的に大きく値を下げたものの、その後は買いが優勢となり、最終的には始値をやや上回ったところで取引を終えている。

株価の底堅さを表しているため、安値圏で出現すると株価が上昇に転じる可能性がある。


⑧下影陰線

下陰陰線
下影陰線(したかげいんせん)は、長い下ヒゲがある陰線のことだ。一時的に大きく値を下げたがその後は持ち直し、最終的には始値をやや下回ったところで取引を終えている。

安値圏で出現する場合は、上昇トレンドへ転換サインと判断できる。一方で、高値圏では株価下落への警戒感の表れであり、売りの勢いが強まる可能性があるので要注意だ。


⑨十字線

十字線
十字線(じゅうじせん)は、始値と終値が同じでローソク足がない状態だ。売りと買いの勢いが拮抗しており、様子見の姿勢が強いといえる。

高値圏で出現すると、買いの勢いが弱まったことから下落トレンドへの転換サインとなる。安値圏では売りが一巡したことを表し、株価が上昇に転じる可能性がある。


実際の株価チャートでローソク足を解説

ここでは、日経平均株価のチャート(日足、3ヵ月)を使って、先程説明したローソク足の基本9種類が出現している箇所を解説する。まずは4種類の陽線について見てみよう。

4種類の陽線が出現している例
出所:SBI証券 日経平均株価のチャートより作成

株価の底堅さを表す下影陽線をつけた後、日経平均株価は一時上昇している。もみ合いが続き、少し上昇したところで上値の重たさを表す上影陽線をつけ、下落に転じている。上昇トレンドで大陽線をつけた後は小陽線が連続して出現しており、買いの勢いが強まっていることがわかる。

続いて、4種類の陰線と十字線についても見てみよう。

株価チャートで4種類の陰線が現れている例
出所:SBI証券 日経平均株価のチャートより作成

大陰線には下ヒゲがあるため、下落一辺倒ではなく、安値からやや戻していることが読み取れる。一度上昇した後は小陰線が連続して出現していることから、下落に転じたと判断できる。

下落トレンドで十字線をつけた後は売りの勢いが弱まり、もみ合い局面が続く。やや上昇したところで上値の重たさを示す上影陰線をつけた後、下落に転換している。そして、安値圏で下影陰線をつけた翌日から株価は大きく上昇している。


ローソク足のパターンと特徴

ローソク足は、1本でも今後の値動きを予測できる。しかし、複数のローソク足を組み合わせたパターンに注目することで、予測の精度をより高めることが可能だ。ここでは、代表的なローソク足のパターンとその特徴を解説する。


出会い線

出会い線
出会い線は、大陽線と大陰線の組み合わせたパターンだ。①は大陽線をつけて翌日も大きく上昇するが、最終的には前日の終値と同じ水準で取引を終えている。買いの勢いが弱まっているため、下落に転じるサインとなる。

①とは反対に、②は大陰線を付けた翌日も大きく下落するが、最終的には前日の終値付近で取引を終えている。売りの勢いが弱まっていることを示しているため、上昇トレンドへ転換する可能性がある。


振り分け線

振り分け線
振り分け線は、出会い線と同じく大陽線と大陰線を組み合わせたパターンだ。大陽線または大陰線を付けた日の始値と、翌日の始値がほぼ同じ水準となるのが特徴だ。

①は買いの強さの表れであり、上昇トレンドで出現すると買いタイミングとなる。②は売りの勢いが強いことを示しているため、下落トレンドで出現すると売りタイミングと判断できる。


はらみ線

はらみ線

はらみ線は、1本目の長いローソク足が2本目の短いローソク足を包み込む形のパターンだ。

①と②は株価が天井付近にあることの表れであり、高値圏で出現すると下落へ転じるサインとなる。反対に、③と④は底が意識されているため、安値圏では上昇トレンドへ転換する可能性がある。


包み線

包み線

包み線は、はらみ線とは反対のパターンだ。1本目の短いローソク足を2本目の長いローソク足が包み込む形になる。

①は買いの勢いの強さを示しており、下落基調のときに出現すると上昇トレンドへの転換点となる。②は売りの抵抗が強まっているため、上昇トレンドで出現すると下落に転じるサインと判断できる。


かぶせ線

かぶせ線

かぶせ線は、大陽線をつけた翌日の始値が前日の終値を上回るものの、最終的には大陽線の中心値以下で取引を終えるパターンだ。

売り圧力が強く、天井が意識されている表れといえる。下落トレンドへ転換する可能性があるため、高値圏で出現すると売りタイミングと判断できる。


切り込み線

切り込み線

切り込み線は、大陰線をつけた翌日に、その中心値を超えて大陽線をつけるパターンだ。株価が大きく下落し、翌日も前日の終値より安く始まるが、その後は株価が上昇に転じている。買いの勢いが強まっているため、安値圏で出現すると買いタイミングとなる。


ローソク足のパターンから売買タイミングを判断しよう

ここでは、実際のチャートを使って、ローソク足のパターンから売買タイミングを判断するポイントを解説する。


買いタイミングの具体例

まずは買いタイミングの具体例を確認していこう。以下はトヨタ自動車(7203)の株価チャートだ。

株価チャートに出現したはらみ線の具体例
出所:SBI証券 トヨタ自動車の株価チャートより作成

株価が大きく下落したところで、長い陰線のあとに短い陽線が出る「はらみ線」が出現している。下落したタイミングで出現しているため、底が意識されていると判断できる。はらみ線が表れた後、株価や短期移動平均線が上昇に転じたところが買いタイミングだ。

次に、オリックス(8591)の株価チャートを見てみよう。

株価チャートに出現したつつみ線の具体例

出所:SBI証券 オリックスの株価チャートより作成

下落トレンドの途中で、短い陰線を長い陽線が包み込む「包み線」が出現している。安値圏では上昇トレンドへ転換するサインであり、実際に株価は上昇に転じている。包み線を確認した後、株価と短期移動平均線が上昇したところが買いタイミングとなるだろう。


売りタイミングの具体例

続いて、売りタイミングの具体例を確認していこう。以下は三井住友フィナンシャルグループ(8316)の株価チャートだ。

株価チャートに出現した出会い線の具体例
出所:SBI証券 三井住友フィナンシャルグループの株価チャートより作成

株価が大きく上昇したところで大陽線をつけた。翌日の始値はさらに上げたものの、結局は終値付近で取引が終了して「出会い線」が出現している。売り圧力に押されていることを表すため、高値圏では売りを検討する材料となる。実際に株価は下落に転じている。

出会い線ができた翌日に売却できるのが理想だが、遅くとも、その後に窓を開けて下落したところが売りタイミングとなるだろう。

別の具体例として、ENEOSホールディングス(5020)の株価チャートも見てみよう。

株価チャートに出現した包み線の具体例
出所:SBI証券 ENEOSホールディングスの株価チャートより作成

株価がやや上昇したところで、短い陽線のあとに長い陰線をつける「包み線」が出現している。上昇基調にあるときは下落のサインと言われており、実際に株価は下落に転じている。包み線を確認した後、直近安値(450円付近)を割り込む辺りが売りタイミングだ。


ローソク足の種類を覚えて投資に生かそう

ローソク足の種類や代表的なパターンを知っておけば、初心者でも株の売買タイミングを判断しやすくなる。株式投資で安定的に利益を得られるように、まずは代表的なローソク足9種類の形と特徴を覚えることから始めよう。

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