上昇トレンドで買いを入れるタイミングは？実際のチャートで解説【株式投資】

株式投資では、上昇トレンドで買い注文を入れる「順張り」が基本と言われる。特に初心者は、株価が上昇しているときに買うほうが安全で利益を得やすい。

しかし、株価は常に上下しているので、買いを入れるタイミングの判断が難しいのではないだろうか。また、そもそも上昇トレンドを判断するポイントがわからない人もいるだろう。

今回は、上昇トレンドを判断するポイントや買いを入れるタイミング、読みが外れたときの対処法などを解説する。仮想通貨チャートの場合でも基本的に同じなので、参考にしてほしい。

株の買いを入れる際の原則

株価には大きな流れ（トレンド）があり、以下の3種類に分類できる。

上昇トレンド：株価チャートが右肩上がりの状態
下落トレンド：株価チャートが右肩下がりの状態
もみ合い局面：株価チャートが一定の値幅で横ばいの状態

上昇トレンド・下落トレンド・もみ合い局面具体例

下落トレンドで買いを入れることを「逆張り」という。株価は常に上下しているので、タイミングをうまく捉えられれば逆張りでも利益を得ることは可能だ。ただし、株価が全体的に下落傾向にあるため、損失が拡大しやすい。初心者は基本的に下落トレンドで買わないほうが良いだろう。

もみ合い局面は買い手と売り手が均衡しており、株価の方向性が定まらない状況だ。株価が上下するタイミングを見極めて利益を得ることも可能だが、値幅が小さいため、大きな利益を得るのは難しい。

株式投資では、原則として上昇トレンドで買いを入れるようにしよう。

上昇トレンドを判断するポイント

上昇トレンドで買いを入れるには、株価が上昇トレンドにあるかを見極めなくてはならない。ここでは、上昇トレンドを判断するポイントを紹介する。

①ローソク足が右肩上がりになっている

ローソク足が右肩上がりの状態であれば、株価は上昇トレンドにある。株価チャートを見れば一目でわかるので、初心者でも判断しやすいだろう。ただし、チャートの表示期間によって、ローソク足の状態は変わる。

たとえば、1カ月ではローソク足が右肩上がりでも、1年、2年といった長期で見ると右肩下がりである場合もある。中長期で株式投資に取り組む場合は、短期と長期どちらの株価チャートも確認してトレンドを判断することが大切だ。

②移動平均線が上昇している

上昇トレンドは、移動平均線から判断することも可能だ。移動平均線は一定期間の株価の平均値をつなぎ合わせたもので、主に「短期」「中期」「長期」の3つがある。移動平均線が上向きの状態なら上昇トレンド、下向きなら下落トレンドと判断できる。

移動平均線でトレンドを判断する方法として有名なのが「ゴールデンクロス」だ。ゴールデンクロスは短期線が長期線を下から突き抜ける状態のことで、株価が上昇トレンドに転じたサインと言われている。

③出来高が増加している

上昇トレンドを判断するときは、出来高に注目する方法もある。出来高とは、一定期間中に成立した株式の売買数量のことで、株価チャートの下に棒グラフで表示される。

トレンドの転換点では、出来高が大きく増える傾向にある。たとえば、普段はあまり値動きがない銘柄の出来高が急増し、株価も上昇している場合は上昇トレンドに変わったと判断できる。

上昇トレンドのサイン具体例

出所：SBI証券川崎汽船（9107）のチャートより作成

④チャートパターンに注目する

株価チャートが一定のパターンを形成すると、上昇トレンドに転換する可能性がある。代表的なチャートパターンを2つ紹介しよう。

ダブルボトムは、株価が2回底値をつけて「W」の字を描くチャートだ。2番底の後に株価が前回の高値（ネックライン）を超えると、上昇トレンドに入ったサインと言われる。

ダブルボトム解説

三角保合いは、株価がもみ合いを続けて三角形のようになるチャートだ。レジスタンスライン（上値抵抗線）とサポートライン（下値支持線）が1点に収束するあたりで、株価は大きく動く傾向にある。株価がレジスタンスラインを超えて上昇すれば、上昇トレンドに入ったと判断できる。

三角もちあい解説
このようなチャートパターンを使って、トレンドの転換点を判断するのも1つの方法だ。

上昇トレンドで買いを入れるタイミング

ここでは、具体例を使いながら上昇トレンドで買いを入れるタイミングについて解説する。

直近高値超え

直近高値超えとは、株価が直近の高値を更新したタイミングで買いを入れる方法だ。直近高値の更新は、上昇トレンドへ転換したサインと判断できる。

双信電機（6938）のチャートを確認すると、株価はしばらく550～600円の間で推移していたが、8月2日に直近高値を更新し、その後は上昇トレンドに入っている。

直近高値越えで買いを入れる実際のタイミング

出所：SBI証券双信電機（6938）のチャートより作成

移動平均線がゴールデンクロスを形成していること、出来高が急増していることからも、上昇トレンドに転換したと判断できる。

8月2日の高値更新のタイミング（買い①）で買いを入れるのが理想だ。タイミングを逃したとしても、今後も上昇トレンドが続くと判断する場合は、株価が少し下がった8月5日あたり（買い②）で買いを入れてもいいだろう。

押し目買い

押し目買いとは、上昇トレンドの途中で一時的に株価が下がるタイミング（押し目）を狙って買いを入れる方法だ。押し目買いのタイミングは、直近の高値や移動平均線から判断する。

株価が下落して押し目をつけた後、直近の高値を上回るときが買いタイミングの1つだ。直近高値を更新すれば、その後も上昇トレンドの継続が期待できる。

また、株価が移動平均線に近づいたタイミングで買いを入れる方法もある。日足チャートであれば、株価が25日移動平均線（中期線）に近づいたタイミングで購入する。上昇トレンドの途中なら、株価は移動平均線を割り込まずに再度上昇することが多い。

日本電子（6951）のチャートを確認すると、ローソク足が右肩上がりになっていることから上昇トレンドと判断できる。そして、上昇トレンドの中でも株価は上下しているのがわかる。

押し目買いの具体的タイミング
出所：SBI証券日本電子（6951）のチャートより作成

押し目をつけた後、株価が直近高値を更新したタイミング（赤字の買い①～④）で買いを入れるといいだろう。

移動平均線から買いタイミング判断する場合は、株価が中期線に近づいたとき（青字の買い①～④）が買いタイミングとなる。

下落トレンドから上昇トレンドへの転換直後

下落トレンドから上昇トレンドへ転換した直後も、買いタイミングの1つだ。下落トレンドがしばらく続いた後、株価がレジスタンスラインを超えて上昇すれば、トレンドの転換点だと判断できる。

オリックス（8591）のチャートを確認すると、しばらく下落トレンドが続いた後、株価が上昇トレンドに転じているのがわかる。

下落トレンドから上昇トレンドへの転換直後で買いを入れる具体的なタイミング
出所：SBI証券オリックス（8591）のチャートより作成

株価がレジスタンスラインを超えたところ（買い①）が最初の買いタイミングだ。移動平均線がゴールデンクロスを形成していることも、買いタイミングの判断材料となる。

また、株価が直近高値を上回ったところ（買い②）も買いタイミングだ。買い①は上昇トレンドへ転じるか判断が難しいため、買い②で購入できれば問題ないだろう。

読みが外れた場合はどうする？

買いタイミングだと思っても、実際には読みが外れることもある。購入後に株価が予測通りに動かなかった場合はどのように対処すればよいのだろうか。ここでは、読みが外れた場合の対処法を2つ紹介する。

ナンピン買い

ナンピン買いとは、保有銘柄の株価が下がったときに買い増しをして平均購入単価を下げる方法だ。たとえば、株価2000円で100株購入した銘柄を、株価1000円に下がったときに追加で100株購入すれば、平均購入単価は1500円に下がる。

上昇トレンドの途中で株価下落が一時的なものであれば、ナンピン買いは有効だ。ただし、株価が下げ止まらなければ損失が拡大するため、リスクの高い方法といえる。

損切り

損切りは、読みが外れて株価が下落したときに売却して損失を確定させることだ。株価はさまざまな要因で変動するため、いつも予測通りに動くとは限らない。早めに損切りをすれば、損失は最小限に抑えられる。

株を買う前に損切りラインを決めておき、読みが外れたときは機械的に損切りを行うのがコツだ。

買いタイミングの読みが外れた時はナンピン買いや損切りで対処する方法もある

上昇トレンドで買う際に気をつけるべきポイント

株価が下がっているときは買わない

上昇トレンドであっても、株価が下がっているときは買わないことが大切だ。購入後も株価下落が続き、短期間のうちにサポートラインを割り込めば、損失が拡大する恐れがある。押し目買いを行うときも、株価が底値をつけて上昇に転じたことを確認してから買うようにしよう。

ナンピン買いより損切りを心掛ける

初心者は、基本的にナンピン買いは避けたほうが無難だ。「下手なナンピン、大怪我のもと」という相場格言もある。損をしたくないからとナンピンを繰り返すと、かえって損失を拡大しかねない。

ナンピン買いよりも、損切りで損失を最小限に抑えることを徹底しよう。どうしてもナンピン買いをしたい場合は「100株の追加購入を2回まで」といったルールを決めておき、そのルールを守ることが大切だ。

買いタイミングを逃したら無理をしない

株式投資は、適切なタイミングで買わないと利益を得られない。株式市場には3000を超える銘柄が上場しており、トレンドも定期的に変化するので、チャンスはいくらでもある。

上昇トレンドで買いタイミングを逃したら、無理に買わないことが大切だ。少し時間を置いて、あらためて買いタイミングを探そう。

投資初心者は上昇トレンドで買いを入れる順張りのトレードをしよう

上昇トレンドで買いを入れる順張りのトレードなら、初心者でも比較的利益を得やすい。株価が上昇トレンドにあるときは、直近の高値や移動平均線などから買いタイミングを判断しよう。