ビットコインのウォレットを提供するザポ社(本拠地・香港)は、同社が顧客のビットコインを保存するために機密使用している、スイスアルプス山中の旧軍用隠ぺい壕にジャーナリストが訪れることを許可した。隠ぺい壕は1947年に建設され、冷戦時代はスイス軍の極秘指令所として使用されていたといわれている。
米サイトQuartzと世界経済フォーラムによせた最近の記事で、ジューン・イアン・ウォン記者はスイスアルプスの花崗岩山地にある極秘軍用隠蔽壕への訪問の詳細を記録している。2017年の11月末現在、一万平方フィート(約929平米)の隠ぺい壕はDeltalis社によってデータセンターとして運用されている。
ビットコインのウォレット・キーに文字通り「鉄の守り」
ウォン記者は記事の中で、隠ぺい壕への最初の障害は高さ10フィート(3メートル)のゲートであることを明らかにした。訪問者はロビーに入室後、写真撮影と指紋記録を要求される。その後は防弾ガラスでつくられた円柱型の「人間トラップ」へ入ることが要求される。訪問者は、隠ぺい壕のメインエリアに続く反対側のドアをオペレーターが開くまでその中に閉じ込められる。
また、隠ぺい壕にはIDカードが無ければ通れない二つの鉄製の回転ドアがある。これは長さ100メートルの通路へ繋がっており、通路の終わりには、原子爆弾の爆発にも耐えることのできる二つの赤い鉄製のドアが設置されている。
ドアの後ろにはまた別の「人間トラップ」があり、クローゼットほどのサイズの部屋に繋がる白いドアへと導く。その部屋には冷却ユニットとまた別のドアがあり、それは二つの別の部屋へと繋がっている。オペレーター室と、ビットコインのウォレット・キーが保管されている「コールド・ルーム」だ。コールド・ルームはキーのセキュリティを保持する目的で、電磁パルス攻撃すら妨げることのできるファラデー・ケージを形成する厚いスチール版に囲われている。
ザポ社のセキュリティ責任者によれば、隠ぺい壕はハッカーとテロリストの両方からの襲撃に常にさらされているため常時24時間体制で監視されており、襲撃を妨害するため非常に厳しい安全対策を行わなければならないのだという。
私たちは常に襲撃を受けています。これは競争ではなく、チェスゲームです。対向者の次の動きを考えなければならない。リラックスする暇はありません。