南アフリカ本拠で、ダイアモンドの採掘から卸売を手がけるデビアスグループは24日、同社のダイヤモンド供給ブロックチェーンプラットフォーム「Tracr」に、ダイヤモンドジュエリー小売業世界最大手のシグネット・ジュエラーズが参加したと発表した。同事業では、業界の透明性と消費者からの信頼を高めることを目指す。

 シグネットはTracrプラットフォームのパイロット版に参加する。同社が参加することで、ダイヤモンドの生産から小売店舗までの「デジタルリンク」が完成する。ダイヤモンドジュエリーの追跡に主眼を置きつつ、メーカーと小売業者のニーズにプラットフォームが対応できるように努めていく。

 Tracrは各ダイヤモンドにデジタル証明書を発行する。この証明書は、主要な特性や取引情報などと共にプラットフォーム上に登録される。これにより、消費者は購入したダイヤモンドが天然で、紛争とは無関係のものであると確認できるという。デビアスグループのブルース・クリーバーCEOはこの提携について次のようなコメントを述べている。

「Tracrが重視しているのは、ブロックチェーン技術の利点をダイヤモンドのバリュー・チェーン全体にもたらすことだ。消費者には信用を、業界には効率とコスト削減を、融資者には透明性を提供してくれるだろう」

 シグネット・ジュエラーズは米オハイオ州に本社を構え、カナダ、米国、英国で営業している。17年のダイヤモンド・ジュエリーの売り上げは38億ドル(約4億1000万円)だった。18年度年次報告書によると、米国ジュエリー市場のシェアは7%だった。

 コインテレグラフは今月に入り、デビアスが高価値ダイヤモンド100個を鉱山から小売店まで、ブロックチェーン技術によって追跡したと伝えた。これは「ダイヤモンドの旅路が鉱山から小売店まで、デジタルによって追跡された初めてのこと」と報じられた。デビアスによると、Tracrプラットフォームは年内に立ち上がる見通しで、いずれダイヤモンド業界全体が利用できるようになる予定だ。

 ダイヤモンド業界の有力企業であるKGKダイヤモンドとアルロサの2社はこのほど、ブロックチェーンスタートアップ企業のD1ミントと、ダイヤモンドのトークン化で提携することに合意した。ブロックチェーンにより、天然ダイヤモンドを投資資産クラスに変え業界を変革し、さまざまな投資家グループの需要を広く掻き立てるものと見られている。