著名テクニカルアナリストのピーター・ブラント氏は法定通貨に牛耳られた経済によって、仮想通貨(暗号資産)ビットコインや仮想通貨は大きなブレークには至らないと主張した。米国が追加の景気刺激策が発表されるではないかとの期待が高まり、ビットコインが急騰した中で、ビットコインマキシマリストに対し、疑念の声を投げかけた。

7月22日の一連のツイートの中で、将来、世界は複数の法定通貨をベースにした特別引出権(SDR)に頼ることになるだろうと予想した。SDRとは国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産。加盟国の外貨が不足した場合にSDRを対価として、他国から外貨を調達できる仕組みのこと。IMFの最新のデータでは現在約2810億ドル(約30兆円)相当のSDRが発行されている。

さよならゴールドスタンダード

ブラント氏は金本位制に回帰しないと主張し、SDRの設定にはビットコインやアルトコインは含まれないとした。

ブラント氏によると、将来のSDRバスケットは7つの主要な法定通貨と貴金属、原油で構成されることになるという。同氏はツイッターで「予測:世界は金本位制に戻らないだろう」とツイートし、以下のように連続投稿した。

「世界は米ドルと日本円、オフショア人民元、ユーロ、カナダドル、豪ドル、英ポンド、ゴールド、シルバー、原油で構成される型通りのSDRを採用するだろう。ビットコインやその他の仮想通貨はバスケットの一部にはならない」

金は最近、2011年以来の最高水準に到達した後、高値を更新し続けている。銀も同様に高値を更新するなど、「安全資産」として資本が集まっている。

ブラント氏「傲慢な」仮想通貨マキシマリストを攻撃

ビットコインを支持する人の中には、金本位制の崩壊が現在の法定通貨システムの問題を引き起こしていると主張する声もある。「ビットコイン・スタンダード」の著者で経済学者のセイフディーン・アモス氏は、中央銀行が資金供給をコントロールすることで中銀側の利益が優先されるようになると指摘している。

しかし、ブラント氏はビットコインが法定通貨の地位を完全に奪うことが解決策になるという考えに疑念を投げかけている。

「最終的には通貨システム全体が紙の法定通貨を超えて進化するだろう。しかし10年から20年の短期的には、政府の負債から抜け出す唯一の方法は、米ドルをデフレさせることだ」

さらに以下のように続けた。

「私はただ、ペット・ロック(ごく普通の石をペットに見立てて可愛がること)がすべての法定通貨に取って変わると考える仮想通貨支持者の傲慢さに異議を唱えているだけだ」

ブラント氏は今年3月のビットコイン大暴落後にビットコインはゼロになるかもしれないと発言。ビットコインが価値の保存手段であるという考えは理解できるが、現状は実現していないと指摘していた。

「世界の商業の何%が仮想通貨で行われている?多国籍企業何社がビットコインを使った金融商品を持っている?」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン