中国政府が、中国人ユーザーによる国内外における仮想通貨取引やトークン発行を禁止した昨年の政策を、一層強化することが分かった。中国人民銀行傘下の金融時報が4日夜伝えた

 同紙が関係者の話を元に独占レポートとして伝えたところによると、中国の規制当局は「国内外のICOと仮想通貨取引に対し、一連の規制措置を取る。これには商業拠点の取締、国内外の仮想通貨取引プラットフォームサイト等の取締りと処置を含む」という。違反する企業や団体に関しては「見つけ次第これを閉鎖させる」としている。さらに、状況によっては更なる規制措置を取る可能性も排除しないという。

 また今回の記事では、法定通貨と仮想通貨間の取引仲介業務だけではなく、仮想通貨間の交換業務も「明らかに政策と一致していない」としている。仮想通貨間の交換は大手取引所であるバイナンス等が採用する方式だ。

 中国政府は昨年9月4日に「トークン発行を通した融資リスクを防ぐことに関する公告(关于防范代币发行融资风险的公告)」を発表し、ICOや仮想通貨取引を禁止していた。ところが中国の投資家は依然、国外で運営されるプラットフォームを通して仮想通貨取引やICOへの参加をしており、グレーゾーンが多かった。

 金融時報の記事によると、「ICOと仮想通貨取引は中国から徹底的に撤退したわけではなかった。関係者によると、国内の仮想通貨取引所が閉鎖されてから、多くの中国国籍の人が国外のプラットフォームやサイトに移動して仮想通貨取引に参加している。一部の取引プラットフォームは『場外取引』という方法で個人ユーザー間のP2P取引をマッチングしている。今のところ、プラットフォームの移転先として一番よくあるのが日本と香港等だ。」 

 中国の経済誌「財新」によると、これから一連の規制措置が発表されるという。ある消息筋は同紙に「実は既に具体的な措置が実施されつつあるが、あまり多くの人が気付いていないだけだ」と語ったという。一部の取引所は中国からアクセスするユーザーへのサービスを既に停止。バイナンスは2月1日には中国本土のユーザーにサービスを提供しないと発表。KuCoinも1月20日に同様のアナウンスをしている。

仮想通貨やICO関連の広告が消えた

 今回の報道と同時期に、中国の検索大手「百度」や中国版ツイッターである「微博」では仮想通貨やICO関連の広告が消えた。香港の英文誌「サウスチャイナモーニングポスト」によると、「ビットコイン」「仮想通貨」「ICO」等のキーワードで検索しても関連の広告が出てこなくなったという。百度では16年8月から仮想通貨関連の広告掲載は禁止していたが、実際は掲載されていた。微博は今回公式に仮想通貨関連の広告不掲載を発表している。