ニューハンプシャー州の予備選、「終わりの始まり」はトランプではなく民主党

バーニー・サンダース氏の勝利で終わったニューハンプシャー州の予備選挙で、民主党の投票者総数が過去最高を記録した。ただ、妥当トランプ大統領を期待して民主党に波が来ていると手放しでは喜べないのが現状だ。

若者は熱狂していない

投票者数の年齢層に一抹の不安がある。

エディソンメディア・リサーチが行なった出口調査によると、サンダース氏に投票したのは18~29歳の47%、30~44歳の39%、45~64歳の39%、65歳以上の26%だった。10代や20代の若者に圧倒的な人気を誇るサンダース氏の強さが明らかになった。

しかし、問題はニューハンプシャー州は投票者数に占める高齢者の割合が高いということだ。全ての投票者のうち18~29歳は13%、30~44歳は22%しか占めておらず、足しても全体の3分の1ちょっととなっている

確かにオバマ前大統領が流星のごとく現れた2008年より投票者数が増えたことは良いニュースだが、若者の熱狂を反映したとは言い難い結果となった。

ちなみにサンダース氏は若者層、とりわけ初めて投票に行く人こそトランプ撃破のための民主党の原動力と見ている。この理論でいくと、今回のニューハンプシャー州での結果を手放しで喜べない状況だろう。

サンダースバッシング、民主党で始まる

サンダース氏は、日本のメディアでは「急進左派」と呼ばれているものの、実質的には社会主義者だ。資本主義大国アメリカにおいて社会主義者を毛嫌いする人は多く、共和党支持層だけでなく民主党支持層からも批判の声が出ている。

しかし、本命になるはずだった元副大統領のジョー・バイデン氏が本懐寸前。代わりに民主党の穏健な主流派を代弁する候補がいないのが現状。日本のメディアでなぜか「新星」として取り上げられているピート・ブディジェッジ氏では役不足だ。だからサンダース氏くらいしか残っていないのだ。

一方で、これから参戦するマイケル・ブルームバーグ氏待望論がある。確かに全国的な世論調査でも支持率を上げてきているが、最近は人種差別発言で炎上。本当に大躍進があるか不透明な状況だ。

つまり、サンダース氏が民主党の大統領候補になる確率は高い。

しかし、その有力候補サンダース氏でさえ冴えない結果に終わっているのだ。

確かに今回のニューハンプシャー州の予備選でサンダース氏は勝利をした26%を獲得した。しかし、前回2016年の大統領選でサンダース氏が同州で獲得した60%をはるかに下回った。

また、民主党内からは表立ったサンダースバッシングも始まっている。

オハイオ州の民主党議員であるティム・ライアン氏は、12日にフォックスに対して、もしサンダース氏が民主党の大統領候補になれば全米48州で負けると悲観的な見方を示した。

「もし50州で民主社会主義者のスローガンで選挙戦を戦ったら、中西部の産業地帯で負けるだろう。48の州で負けると思う。労働者クラスの労働組合系の投票者で、民間のヘルスケアを交渉した実績のある人々、そしてそれをキープしたい人たちを失うだろう。彼らは、公共のヘルスケアシステムを強制されたくない」

ライアン議員は、バイデン氏を支持している。

熱狂を続けるトランプ支持者

「熱狂」という点で本物なのはむしろ現職のトランプ大統領だ。

ニューハンプシャー州では共和党の予備選も行われた。共和党の大統領候補はトランプ大統領で確定的なので、投票に行く必要はない思ってもいいはずだが、なんと12万人がトランプ大統領に投票。リアル・クリア・ポリティックスによると、過去40年間のニューハンプシャー州の歴史の中で現職の大統領としての票数として最高だという。

サンダース氏はニューハンプシャー州での勝利演説で「ドナルド・トランプにとって終わりの始まりだ」と述べた。しかし、追い込まれているのは民主党の方のようだ。