ビットコインがブームになりつつある一方で、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)もまた、その規模を大きくしつつある。
しかしながら、何もないところからお金を生み出してしまう可能性のあるICOが持つ特性は、いくつかの主要機関の逆鱗に触れてしまったため、投資家たちは二の足を踏みざるを得ない状況だ。
ICOは、今まで見たことのない全く新しいリスクと注意事項を抱えて現れたため、当局や投資家は注意深くことを進める必要がある。
取り締まりの強化
ビットコインや他の暗号通貨などは(多くの場合)政府や規制当局と手を取り合い、落としどころを見つけるべく協力し合って開発に臨んでいる。しかし、その副産物としてICOの大量発生に繋がってしまっている。
ICOとビットコインの違いは、ビットコインは時間をかけて仮想通貨としての信用を手に入れ、詐欺ではないということを証明し、大義を以て運営されているという点にある。
詐欺
特に投資家にとっては、かなり大規模かつ重大なリスクとして考慮しなければならないのが、偽物の暗号通貨や詐欺的ICOによる被害だ。取り締まりを強化している国としては中国が例に挙げられ、現在、中国では、Fanya Metal Exchangeや、Ezubao、Shanxinhulなどの数多くの投資詐欺が横行している。
規制
もちろん、他にも大きなリスクとしては、ICOに関連する規定や閾値、規制が一切ないことが挙げられる。ビットコインに関しては規制が始まったばかりで、アメリカでは州ごとに規制を強化し、10年越しの計画を練っている段階だ。ICOは毎週のように世界中で新しく登場しているため、当局が規制や規定の制定および、法制化を行うのは事実上不可能のように思える。
違法行為
こうしたICO規制の難しさから、ICOにまつわる違法行為を特定することは難しい。法律と足並みを揃えようとするタイプのICOも存在するようだが、規制も標準化も一切されていないため、当局がICOに対して法律を適用する余地はほとんど存在していない。
グローバル市場
加えて、世界中に広がるICOの規模や可用性は、つまるところ、(ICOをローンチしている国でほぼ合法でも)ICOに投資しているユーザーがいる国では非合法で投資が不可能という事態を招く可能性がある。この点も、当局や判事が状況を判断しにくい事態へ繋がると考えられる。
マネーロンダリング
そもそも仮想商品であるため、ラベルを張り、トランザクションの記録を追うことは難しい。しかしながら、もし野放しにしてしまえば、益々トランザクションを追うことは難しくなってしまう。さらには、多くのICOのベースとなる不変の台帳は、マネーロンダリングに繋がる可能性のある匿名性という面がある。
社会経済秩序
基本的に、機関や当局は、確立された社会秩序における変革を嫌う傾向にあるため、これは少し議論の分かれるところかもしれない。言い換えれば、反破壊的技術だ。繰り返しになるが、破壊の度合いは、違法であるかどうかの境に存在するため、当局が大切に守っている社会的規範を破壊する可能性がある。
機関の回避
米国市民を保護するために機能するIRSやSEC(米国証券取引委員会)などの機関は、仮想通貨をコントロールするのは不可能であると気付いているため、さらに何百ものICO市場が存在している現状は、目の上のたん瘤状態だろう。