世界の金融機関がフィンテックの本命としてブロックチェーン技術にこぞって投資する理由とは?(全3話中3話目) | コインテレグラフジャパン

本記事は連載記事となります。前回までの記事はこちら。1話目 , 2話目

資金決済業の躍進

日本にかかわらず、銀行ライセンスを持つ企業は様々な厳しい規制に縛られています。当然ながらそれら規制がブロックチェーンを想定して作られている訳がありません。

 

それに対して、年間利用額が5兆円にも近づこうとしている国内の電子マネーを含め、資金決済業などは大きな成長を見せており、2020年にはノンバンクが銀行の利益の3分の1を奪うという予想まで出ています。

 

それら業種では、銀行業に比べ様々な面で規制が緩く、新しいテクノロジーを比較的導入しやすい環境に恵まれています。それだけではなく、彼らは常に銀行から経済圏を奪おうという使命を持って商活動を営んでおり、現場のコスト意識も銀行より比較的高いため、ブロックチェーン導入への舵取りも段違いに早いと実感しています。

 

私が問い合わせを頂いた先で話をしている限り、日本で真剣に実導入を前提に動き始めている企業はむしろそちらの業種ばかりです。実際に、ブロックチェーン技術を実システムに導入し、数年間で十億円単位の削減を見込んでいるケースもあります。

 

いくら規制が緩和方向にあると言えども、日本では銀行に対する規制がすぐにこの新技術に対応できるとは考えがたいですから、必然的にこのような業種が先陣を切って大きなコスト削減の恩恵を得ることになるでしょう。実際にそれら企業が今までの10分の1、100分の1と言ったコストで、ゼロダウンタイムの24時間決済システムを実現し、削減されたコストをサービス内容と消費者、そしてステイクホルダーに還元し始めた際には、銀行とそれに関わる規制を司る金融庁がその現状を見て、一体どのような反応をされるのかが非常に気になるところです。

 

クラウド革命より速い浸食

日本では、企業のクラウド導入が比較的遅いとされています。金融業に至っては更にその傾向が強いのは周知の事実でしょう。

 

クラウド革命では、それ以前に比較して大幅なコスト削減が実現されました。しかし、それらは欧米やアジア諸国の金融機関に対して、日本特有の費用体系やコスト構造の違いを理由として、その導入の遅さによる機会損失を埋める、もしくはそれに対する言い訳を立てるに至り話が収束できていました。いや、実は近年は利益を上げているからそのコスト格差が見えないだけで、実際は大きく広がっているのかも知れません。

 

しかし、ブロックチェーン革命によるコスト圧縮率は、クラウド革命によるそれとは桁が違います。更にはそのクラウドと融合することにより、ブロックチェーンは恐るべき程のコスト削減をもたらすほか、金融機関が欲するゼロダウンタイムを同時に実現してしまいます。この技術は同業界にパラダイムシフトをもたらすには十分な変革力を持っています。

 

得に国際競争の激しさが増す同業界では、この新技術を持って大きな競争優位性を有する銀行が欧米やアジア諸国から攻勢を仕掛けてくるでしょう。ブロックチェーン技術の破壊的な攻撃力に対抗するには、今のところブロックチェーン技術を持って対峙するしかないのです。その事を理解して危機を察知している金融機関が、多大なる資金を同技術の研究や実証、そして周りの囲い込みに注ぎ込んでいるという訳です。

 

今回はクラウド革命の波に比較して、遥かに速く大きなブロックチェーン革命の波が日本に攻め入ってくることでしょう。

 

最後に

ここまで読んで頂ければ、BNPパリバ銀行のアナリストJohann Palychataがブロックチェーンについて記したコメントが決して大げさではないと理解して頂けるでしょう。

 

「ブロックチェーン技術は、蒸気機関や燃焼機関と同様に扱われるべき世紀の発明であり、金融界どころか、その外までをも変貌させてしまう可能性を秘めている。」

 

実際、真っ先にブロックチェーンの力に気づき莫大な投資を始めた金融業界から、既にその波が外へと波及しています。私は、実際には金融業と相まって、物流業や保険業の方がより大きく同技術の恩恵を得ると予測しています。この数年以内には、ブロックチェーン技術によって人の手を介さず自動で執行される「スマート・コントラクト」の時代が到来します。

 

ブロックチェーンに投資をするには、今からでもまだ遅くはありません。そして、投資と言っても大きな資金を投入するだけが全てではありません。今日この記事を読んだことによって、あなたはあなたの貴重な時間をブロックチェーンの利点を学ぶということに投資をして、既にその第一歩を踏み出しました。


2016年には、日本のメディアでもブロックチェーンと言う言葉が使われるケースがますます増え、わが国も遂に真の「ブロックチェーン元年」を迎えることになるでしょう。

 

著者:朝山貴生

暗号通貨プラットフォーム「Zaif」とブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」を開発・提供するテックビューロ株式会社のCEO。