仮想通貨の信託投資として注目が集まっているグレースケール(Grayscale)は、仮想通貨の投資をしているユーザーからすれば聞いたことがある企業名ではないだろうか。グレースケールがやっていることはファンドで、株やFXと同じように資産家たちが運営側に投資することで利益を還元してもらえるというものだ。そんなグレースケールになぜお金がたくさん集まるのか、そして信託投資とはどのようなものなのかを詳しくチェックしていこう。

仮想通貨投資で有名なグレースケール(Grayscale)とは?

グレースケール(Grayscale)は、海外で有名な仮想通貨信託投資企業である。ビットコインを一番多く保有している企業で、なおかつビットコインがまだ有名になる前から投資を始めていたという話はあまりにも有名だ。

社名

Grayscale Bitcoin Trust BTC(グレースケール・ビットコイン・トラスト)

所在地

アメリカ・ニューヨーク

設立

2013年9月25日

ティッカー

GBTC

公式HP

grayscale.co

保有量

50万BTC以上

CEO

創業者:バリー・シルバート、新CEO:Michael Sonnenshein

現在は58万BTC以上を保有しており、ビットコイン市場に大きな影響をもたらしている。そのほかの概要もチェックしていこう。

ビットコインを現物で世界で一番多く保有する企業

グレースケールは、50万BTC以上の資産を保有する企業で、ビットコインが出た当初からその可能性に目をつけ投資を行っている。

ビットコインの人気の火付け役ともいえるだろう。ビットコインのCMを流しビットコインに注目を集めさせたともいわれている。現在ビットコインが人気の秘密が出た背景にはグレースケールが一端を担っているといっても過言ではないだろう。

現在の価格に直すとグレースケールの保有しているビットコインの数はとても多く、資産としても一気に増えていることがわかる。また、2020年にビットコインの価格が上昇したことにグレースケールも関わっているのではないかといわれているのだ。

それもそのはず、グレースケールが資産を動かせばその分相場感が変わるためビットコインを始めとする仮想通貨の価格が上昇したり、下降したりするわけだ。

運用資産残高は今もなお増加中

仮想通貨全体の価格が上昇したことによりグレースケールはより注目を集めているわけだ。それに伴って投資する資産家も一気に増えた。

資産残高が増えれば取り扱う資産量も増えるため、より多くユーザーに還元することができるというわけだ。機関投資家からも注目を集めており、新規のユーザーが増加するなど、まだまだグレースケールは規模が大きくなることが予想される。

2020年は特に資産について考えさせられる年となったが、グレースケールに早いうちに目をつけて、投資していたユーザーは大きな還元に驚いたのではないだろうか。

仮想通貨の投資信託とはどんなもの?

投資信託(ファンド)といえば、株などでも普通に行われているため知っている人も多いだろう。株を購入したいと思っている投資家たちから資金を集め、専門的な知識を持っている人が代わりに運用指示するというものだ。

運用によって得た利益は、投資家たちに還元していく仕組みになっているため、投資を行ったことがない人でも気軽に利益を出すことができると現在もたくさんの投資家たちから注目を集めている。

もともと、投資信託は株やFXといった分野で行われていたが、仮想通貨でも同じ制度があるのだ。それが仮想通貨の投資信託だ。

一般的に、上場していない投資信託よりも上場している投資信託には以下のようなメリットがある。

  • 上場しているという安心感
  • 値動きがわかりやすく、コストが低い
  • 取引所(株式市場の上場先)でリアルタイムで取引ができる

ビットコインなどを保有することなく投資可能

ただ、仮想通貨はまだまだ謎の部分が多いだけでなく、購入のためには一歩踏み出せない、なんとなく難しいというイメージがついている人も多い。

特に、仮想通貨はP2Pという特性上、ハッキングやパスワード/秘密鍵の紛失リスクなど、自己責任に負うところが大きく、このような大企業が保管してくれているのはメリットが大きいと言えるだろう。

つまり、仮想通貨への投資を考えているが、よくわからないし怖いし、と踏み切れない人におすすめされるのが仮想通貨の投資信託というわけだ。

グレースケールはアメリカでの株式市場での上場審査をクリアできる信頼のできる仮想通貨のみを取り扱っており、グレースケールが取り扱いを発表したものは、価格が急騰するなど信頼性の高いものが特徴であり、「これからICO(IEOなどIDOといったものを含む)で10倍100倍!」といった投機(ギャンブル)的な銘柄とは一線を画すものと言われている。そのため、「仮想通貨市場全体は伸びるだろうけど、具体的にどのコインを買ったらいいか分からない。詳しい人からオススメを聞くしかない」と言った方は、投資は自己責任であるという原則を踏まえるとグレースケールが取り扱っているような投資信託を購入するのが無難であるといえよう。

安全性が期待でき、投資家に好まれる

グレースケールの投資信託を購入するということは、仮想通貨価格と連動した株式を購入するのと同じということになる。投資家たちは仮想通貨に対する知識がなかったとしても気軽に仮想通貨を購入していることと同じということになる。

仮想通貨は現在でもたくさんのものが生まれており、どのコインがよいのかなどを一目で判断するのは素人には難しい。

それを専門的知識をもった人が精査し、より低リスクで利益を出すために奮闘しているので、より安全に購入できるという点が投資家たちの人気を集めている。

また、投資家たちにとって税制上のメリットもある。仮想通貨を保管している会社の株式を売買するというのが投資信託であるため、税制面では株式としての処理が可能だ。

日本でも、仮想通貨での利益は税率が高い!と一部で言われているが、証券での利益として相対的に低い税率となるのは、日米を問わずメリットであるといえよう。

安全性の高いリスク対リターンに優れた取引で、知識がなくても取扱可能という点や、相続法上の受益者への譲渡も容易であるなどと言った点も投資家たちにとってメリットの多い取引ということになる。

グレースケールへの投資額は上昇

グレースケールの発表によると、ビットコインの投資信託の流入額が370億ドル(執筆時点4兆円超)を超え、イーサリアムも63億ドル(同7000億円超)ドルに達したと発表している。

そのほとんどが機関投資家からのもので、しかも94%にのぼるというのだから驚きを隠せないユーザーもいるだろう。それだけ大きな資産を扱っているプロが仮想通貨投資信託の世界最大手であるグレースケールに対して注目していることもわかると言えるのではないか。

仮想通貨市場が上昇するにつれて、グレースケールへの投資も成長

仮想通貨は常に人気と注目を集め続けているもので、長期的に見て選ばれるそれぞれの仮想通貨の価値も上昇しているのが現実だ。

ビットコインが市民権を得るまでの期間、数多くのアルトコインが出てきて、様々なICOなどに期待も寄せたが、結局は大型の銘柄(ビットコインやイーサリアム、ラインコインなど)への投資がパフォーマンスが一番良かったことは否定できない。

これはあたかも、株式市場における、AmazonやGoogle(Alphabet)などのIT巨人に投資をしてたのが一番良かったよね、という形に似ていると言えるだろう。

市場価格が上昇していくことによって、そしてグレースケールの高い銘柄選別能力をみて新規の投資家たちが投資することを決めている。

グレースケールの投資額も大きくなったことで、注目が集まるという好循環が起こったことでグレースケールの信託投資は事業を大きくしてきた。

投資家が仮想通貨を購入する代わりにグレイスケールの信託を購入する理由とは?

まとめると、投資家たちがグレースケールの投資信託をこぞって購入する理由は以下の通りということになるのだ。

  • リスクが低いので安心して投資できる
  • 米国市場に上場しているため信頼度が高く、また流動性が比較的高い
  • 証券の口座がある場合は特に新規で作成の必要なく取引可能
  • 税申告の手間が省ける
  • まだまだ資金流入の可能性がある

などたくさんのメリットが揃っているので、投資家たちはこぞってグレースケールの信託投資を買い始めているのも無理がないというわけだ。

日本では、未だどこの証券会社も仮想通貨のETF(上場投資信託)の取り扱いを行なっていないのは悔やまれる。
そして、日本の居住者は、一般的には日本の証券会社が取り扱いをしない限り、グレースケールの投資信託を買うことができない。こうやって米国との差が開いていくことはとても悲しいことである。

ただ、投資信託を購入する方法は何もグレースケールだけではない。グレースケールの投資信託の受益権をオプションとして販売しているPro Top Company Service Ltd.(以下PTCS)なども、機関投資家や先見性の高い個人投資家から注目を寄せられている。

自身も機関投資家としてグレースケールの認定バイヤーのライセンスを持ち、PTCSのオプション部門アドバイザーでもあるエリラン氏によると「Grayscaleへの機関投資家たちによる投資は非常に活発で、伝統的な金融商品と新進気鋭の仮想通貨を融合するようなプロダクトは、今後もますます需要がでてくるだろう。それに伴って、そのような人気の商品と損益が一体化するオプション取引の需要も急上昇すると考えている」とコメントしている。

このことからも仮想通貨の信託投資に注目が集まり続けることが伺えるうえに、今後伸びていくものとして捉えていることがわかる。

では、その中でもプロがオススメする投資信託(受益権のオプション取引も含む)はなんだろうか。

ライトコインが今後ビットコインのように価値が上がると予想

上述のエリラン氏によると、ファイナンシャルアドバイスではない、という前提の元「ライトコインの投資信託(LTCN)に注目している」とのこと。

理由は、ビットコインに比べてライトコインは割安だという点にある。ビットコインがデジタルゴールドとも呼ばれていることは多くの人が知っているだろうが、ライトコインはデジタルシルバーと呼ばれている※1ことは日本人には意外と馴染みがない。

ビットコインの価格が上昇することにより、人気が増すが、その分送金に時間がかかったり、送金コストが高くなるなどの問題も起きている。ライトコインはビットコイン同様に発行枚数が厳密に決まっていることから、逆にビットコインが上昇しすぎた時の代替資産として選ばれるだろう。

事実、ビットコインの価格上昇によって、近年LTC/BTCは価格を増している。(ビットコインよりもライトコインの方が価格上昇率が高いということ。)

参考:Coingeckoより。2021/4/9時点チャート

現在のライトコインはビットコインと比べると圧倒的に安く仕入れることができる。ビットコインが登場当時そうだったように、ライトコインに注目してライトコインに投資しておくことでより多くの恩恵を受けられることが予想できるわけだ。

そうなると登場したばかりの仮想通貨を購入するのと同じではないか、と思う人もいるだろう。確かに登場したばかりのコインであれば価値もほとんどなく誰でも気軽に手にすることができる。

ただ、価格が上昇するかだけでなく、今後価値が下がらないものかということはとても重要なポイントだ。

仮想通貨市場の拡大と共に、日々、数多くのコインが値段の上げ下げをしているが
「3年後5年後に残っているという言えるものは1割もない」(同エリラン氏)。

ライトコインは既にマーケットから存在を認められており、価値がなくなることは考えにくいのではないか。

つまり、下がることよりも注目されて価格が上昇することが期待できるため、ライトコインに今注目が集まっており、信託投資など比較的安全に資産を増やしたい人に向いたコインとして注目されている。

グレースケールやPTCSのような会社が提供する商品から目が離せない

グレースケールはもちろんそうだが、PTCSやDeribitのような、仮想通貨の代替的商品を提供してくれる会社が増えるおかげで、市場の拡大が起こっているのである。

今後も、様々な商品が世の中に出てくるであろうが「ICOで一攫千金」のようなものだけが仮想通貨ではないということを、特に新しく仮想通貨投資を始める方々にはお伝えしておきたい次第である。

※1私がデジタルシルバー、ライトコインに投資した9つの理由(邦訳)
https://www.agelessfinance.com/9-reasons-i-invested-in-the-digital-silver-litecoin/