ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンドが投資するコワーキングスペース「ウィーワーク(WeWork)」が仮想通貨建て決済の受付を開始する。

同社の発表によると、ビットコインイーサリアムといった主要仮想通貨や、USDCPaxos(PAX)といったドル価格と連動したいわゆる「ステーブルコイン」が賃料や会員費の支払いに使えるようになるという。日本のウィーワークでも仮想通貨決済ができるようになるかは今のところ不明だ。

また先週米株式市場に上場した米仮想通貨取引所最大手コインベース社が賃料を仮想通貨建てで支払う最初のテナントとなる。

そこで気になるのがソフトバンクを率いる孫正義氏の考えだ。同氏は2018年に個人的なビットコイン投資で約145億円の損を出したと報道されている。

ヒントになるのは孫氏と近いとされるソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長執行役員COOのコメントだ。同氏は「未来の職場とビジネスについて考えるとき、仮想通貨をその会話の中心に考えなければならない。仮想通貨はより強固な世界経済の構築に役立つものであり、今回のWeWorkの発表はイノベーションやグローバルビジネスを目指す同社の姿勢を示すものだ」とコメントしている。

ちなみにクラウレ氏はソフトバンク傘下の米運用会社フォートレスの会長も務めている。フォートレスといえば早くも2013年に約20億円分のビットコインに投資し、その後仮想通貨ファンド「パンテラキャピタル」等とビットコインのファンドを立ち上げるなどしてきた。近年では破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスの債権買取提案を行うなど活発に動いている。

一方で孫氏は昨年11月の報道で「私はデジタル通貨は便利だと思う。しかし、どのデジタル通貨なのかどういった要素になるのかなど、私は知らない」とコメントしたとされており、ビットコインや仮想通貨に対する立場を明確にはしていない。

ソフトバンク傘下のフォートレスは仮想通貨投資ファンド「パンテラキャピタル」にLP(リミテッド・パートナー)として出資していると過去に報道されている。もし現在もLPであるとすればパンテラの運営するビットコインファンドの投資リターンは大幅に増加していることになる。パンテラキャピタルのビットコインファンド資料によると、2013年の設立から2021年3月までのリターンはなんと約820倍となっている。

こういった投資を背景に、今回のウィーワークによる仮想通貨決済導入はソフトバンクグループの仮想通貨に対する見方が変化しつつある兆候かもしれない。

関連記事

「仮想通貨ビットコインは理解できない」ソフトバンク孫社長が発言|過去に投資も「気が散った」=ビジネスインサイダー報道

ソフトバンク孫社長、仮想通貨ビットコイン投資で145億円超の損失:WSJ「忍耐強い投資家という評判に傷ついた」

1BTC=1000万円超の大相場予見する声相次ぐ 今後のビットコイン価格予想 総まとめ【2021年4月最新】

PR記事

仮想通貨・ビットコイン取引所のおすすめは?プロがランキング形式で徹底比較!【2021年最新版】