ウォルマートを含む企業10社がIBMと提携し、世界中のサプライチェーン上で食品を追跡できるブロックチェーンの開発に取り組む。ウォールストリートジャーナル(WSJ)が25日に伝えた。

 このフード・トラスト・ブロックチェーンの開発には、ウォルマートのほか、ネスレSA、ドール・フード・カンパニー、ドリスコールズ、ゴールデン・ステート・フーズ、クローガー、マコーミック、マクレーン、タイソン・フーズ、ユニリーバが参加している。16年からIBMとの共同開発に取り組んでおり、昨年8月に製品試験を開始した

 企業が食品回収に伴う追跡情報などをより迅速に特定し、顧客のリスクを最小限に抑えることを目指す、とWSJは書いている。

 ウォルマートの食品安全部門の副責任者を務めるフランク・イアナス氏は、フード・トラスト・ブロックチェーンを「食品を追跡できるフェデックスのようなもの」と話す。

「一つ一つの食品について各工程のリアルタイムのデータを入手できる」

 システム開発に参加する企業の商品は、場合によっては競合する可能性もあるが、ネスレでサプライチェーンのグローバル責任者を務めるクリス・ティアス氏は、「各社は消費者の信頼確保のため協力している」と述べた。

 IBMによると、フード・トラスト・システムは、たとえばネスレのカボチャの缶詰や、ドリスコールのイチゴ、タイソンの鶏もも肉というように、約100万品目のデータを保存できるという。

 米国では、米国産のロメインレタスが原因で5州で197人以上が大腸菌に感染する食中毒が発生したが、WSJによると、この時点では、このシステムは実用段階には至っていなかったという。イアナス氏は、食品業界がブロックチェーンを全面的に導入するのに数年かかるかもしれないが、将来的には「被害はこれほど大規模で長期的なものにならずに済む」と述べた。

 ウォルマートは4月、ブロックチェーンを活用した生鮮食品のビジネスを展開する準備を進めていることを明らかにした。また、ブロックチェーンを活用した医療記録に関する特許を取得したほか、ブロックチェーンを利用しウォルマートの商品を転売できるマーケットプレイスに関する特許を申請している