米小売り大手のウォルマートは、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を活用した電力供給網の特許を取得した。米国特許商標庁(USPTO)が14日に公開した出願書類で明らかになった。

 分散取引台帳を活用して企業のエネルギー消費管理を改善し、電力供給網の需要を制御できるよう設計されたシステムで、ウォルマートは17年12月に最初に特許を出願した。

 出願書類によると、ブロックチェーンを基盤としたエネルギー消費機器ネットワークは、一般家庭と大規模組織の両方を対象にしているという。一定量のビットコインなどの仮想通貨が各機器に割り当てられ、仮想通貨を使ってエネルギー供給会社からエネルギーを購入できる。さらに書類では次のように説明されている。

「仮想通貨の各単位は各エネルギー単位またはその一部を表すことができる。たとえば、仮想通貨の1単位が1kWhに等しいとすると、プロバイダー・インターフェース・モジュール131は、1か月に800kWhの電力購入費用として仮想通貨を合計800まで受け取ることができる」

 ネットワーク上の機器は、仮想通貨の割当量を超過する機器が生じた場合、請求期間中に機器が確実に作動し続けるよう、機器同士で資金を共有できる。また、このブロックチェーンを基盤としたシステムは、他よりも電力を多く消費している機器を表示することもできる。

 同様の原理により、機器の消費エネルギーが他より少ない場合も互いにサポートできる。

 残ったエネルギーを他のネットワークに分配できるほか、仮想通貨の余剰分を販売したり、次回の請求期間用に貯めておくよう設定することもできる。

 特許によると、「仮想通貨の利用は、中央銀行や中央管理システム、エネルギー供給会社が運営する中央機関などの中央データーベースシステムとは独立して運用することができる」という。

 ウォルマートはこれまで、ブロックチェーン技術をサプライチェーンに統合するためのさまざまな特許を出願してきた。顧客の購入履歴をブロックチェーンに記録し、購入記録を用いた販売用プラットフォーム上で顧客が商品を転売できるサービスの特許や、ブロックチェーンを活用し、荷物の中身、環境条件、場所などの詳細情報が追跡できる「スマートパッケージ」システムの特許を出願した。また、サプライヤーがブロックチェーンで食品を管理するシステムを開発中で、無駄を削減し、異物混入の管理や透明性の改善につながると主張している。