ベンチャーキャピタル、フィンテック投資から後退=BCGなど報告

 フィンテック資本市場での株式投資による資金供給は、2017年に前年から52%減少したと、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が先月16日、ホワイトペーパーで結論付けた。
903社を網羅したBCGのデータによると、フィンテック・ベンチャー企業が資本市場のエコシステムにおいて調達した資金は、15年の11億8000万ドル(約1249億円)、16年の11億9000万ドルに対し、17年は5億7000万ドルだった。

 BCGはベンチャーキャピタル(VC)会社の投資後退を、主な要因として取り上げている。フィンテック分野における17年のVC投資は3億8000万ドルと、前年には10億ドル以上あった投資額から半分以下に減少し、12年以来の最低水準となった。

 BCGは、イノベーションに対するこの投資額減少の原因について、「レガシーITの呪縛」と、「その中核に自動化を置くサービス重視型モデルに対するプロダクト/リレーションシップモデル」の優勢と指摘している。ホワイトペーパーでは、従来のプレイヤーとより小規模なプレイヤーとでそれぞれ異なる数値を示すデータを用い、17年〜18年にかけて起こった、戦略と資金供給経路の変化を示唆している。大手投資銀行はフィンテック分野への投資を、15年の8700万ドル、16年の4600万ドルに対し、17年は3000万ドルまで減らした。一方でより小規模な投資銀行は、16年の2000万ドルから17年は6000万ドルへと、投資額を3倍に増やしている。小規模な投資家は引き続き、「ブロックチェーンに焦点を絞ったR3 CEV社(1億700万ドル)やデジタルアセットホールディングス社(4000万ドル)を含む、ポストトレード業務のフィンテック企業」に投資している。

 BCG及びCBインサイツ社による米国フィンテック分野の最近の分析では、両社ともに、投資家の目はアーリーステージ(シード及びシリーズA)投資から離れ、成熟した企業やレイトステージ投資を好む傾向に変化していると強調する。アンドレッセン・ホロウィッツ社によるコインベース社への最近のシリーズB及びCベンチャー投資は、その顕著な事例だった。

 まもなく伝える予定のCBインサイツ社の分析の概要でも、銀行のフィンテック投資戦略の傾向が、シードステージ投資から、銀行自身による買収の強化と、競合他社に勝つための自社プロダクトのリリースに変化している状況を検証することになるだろう。

 別の主要な変化は、地理的な多様化だ。米国フィンテック企業へのアーリーステージ投資は、13年以降、年23%のペースで減少している。一方、ヨーロッパにおけるフィンテック企業へのアーリーステージ投資は、毎年39%の力強い成長を見せている。南米では17年のフィンテック投資が、過去5年の最高額を記録した。仮想通貨の価格変動、メディアによる反発、さまざまな政府や巨大企業からの規制強化は、発生期にある仮想通貨業界への投資に引き続き影響を与える。多くのVCは引き続き、ブロックチェーン・ソリューションを含むフィンテック・イノベーションについて、仲介業者を排除し、金融分野におけるシンプルで安全なインフラを実現するその可能性を支持している。

 クランチベース社の最近の報告によれば、17年はブロックチェーン及び関連テック分野への投資の当たり年であった。18年もすでに、前年を凌ぐ勢いを見せている。18年最初の2ヶ月におけるVC投資には、仮想通貨ハードウェアウォレットを考案したレジャー社へのシリーズB投資7500万ドルや、ロシアの貨物業界向けブロックチェーン・プラットフォームQUASAへのシードラウンド投資1800万ドル、及びSFベースのハーバープラットフォーム社に対する1000万ドルなどがある。

 これらに加え、サークル社によるポロニエックス仮想通貨取引所の最近の買収に対する、ゴールドマン・サックス、バイドゥ、CICCなどの投資家によるVC投資、及び仮想通貨の取扱いに積極的なシルバーゲート銀行に対するVC会社デジタルカレンシーグループによる投資など、さらに1億4000万ドルのVC投資もあげることができる。