米資産運用会社ヴァンエックのジャン・ヴァン・エックCEOの息子であるニック・ヴァン・エック氏が、1200万ドルの資金調達ラウンドを終えた後、新しい米ドル裏付けのステーブルコインを立ち上げる予定だ。
4月2日のブルームバーグ報道によると、仮想通貨業界のベテランであるドレイク・エヴァンス氏とジョー・マクグラディ氏は昨年10月、ニック・ヴァン・エック氏と共にアゴラを設立し、アゴラデジタルドル(AUSD)を発行する。ニック・ヴァン・エック氏はCEOを務めるという。
AUSDは現金、米国債、翌日物レポ契約によって裏付けられ、900億ドル規模の資産運用会社であるヴァンエックのCEOを務めるジャン・ヴァン・エック氏が、アゴラの準備金のためのファンドを管理する。
「これらのデジタルドルの資産を透明かつ信頼できる機関が管理する必要がある」とヴァンエックのデジタル資産部門ディレクターのカイル・ダクルズ氏は述べた。
1200万ドルのシードファンディングラウンドは、デジタル資産ベンチャーキャピタルのドラゴンフライが主導し、ロボット・ベンチャーズ、ウィンターミュート、ブリード、ジェネラル・カタリストから追加投資が行われた。
エヴァンス氏は以前、分散型金融企業フラックス・ファイナンスの貸出部門の責任者を、マクグラディ氏はデジタル資産管理会社ギャラクシー・デジタルの運用ディレクターを務めていた。
アゴラの親会社は米デラウェア州に、そのステーブルコイン発行者は英領ヴァージン諸島に登記されている。当面は米国外の市場のみにサービスを提供する。
「米国でステーブルコインに関する連邦法が整うまで、我々は主に米国外の顧客に焦点を当てる」とヴァン・エック氏はブルームバーグに語った。
ヴァン・エック氏は、アルゼンチンや東南アジアのような地域がデジタルドルから最も恩恵を受けるだろうと予想している。アゴラは、それぞれ1043億ドルと325億ドルの時価総額を誇るテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)がリードする激しいステーブルコイン市場に参入することになる。上位2つ以外の時価総額上位の6つのステーブルコインは、いずれも5億ドル以上の時価総額を誇っている。
しかし、ヴァン・エック氏は新参者にもまだ余地があると信じている。アゴラは、仮想通貨取引所やカストディアン、分散型アプリケーション、トレーディング企業に至るまで、業界の全プレイヤーとの強固なパートナーシップを確立することに注力するという。