米ドナルド・トランプ大統領は、ベネズエラ政府の発行する仮想通貨「ペトロ」の取引を禁止する大統領令を発した。ブルームバーグが19日に伝えた

 今回の禁止措置は、ニコラス・マドゥロ大統領のベネズエラ政府に対する、圧力キャンペーンの一環だ。大統領令により、米国民は原油価格と連動するこのデジタル通貨を使った取引に、関与することが禁じられる。

 マドゥロ政府による外貨備蓄増加の試みは、この禁止措置により妨げられることとなる。このトークンの売出しで受け入れが認められるのは、米ドルとユーロだけで、ベネズエラ国民は合法的に参加することができない。ベネズエラでは、外国通貨の購入が禁止されているからだ。

 トランプ大統領はまた、大統領令の施行に必要な規則を発動する権限を、スティーヴン・マヌーチン財務長官に与える。財務省は今年、ベネズエラ政府高官4人に対し、制裁措置を発表している。

 マヌーチン氏によれば、「マドゥロ大統領はベネズエラの経済を破壊し、人道的危機に拍車をかけた。マドゥロ政権は軌道修正する代わりに、デジタル通貨「ペトロ」を通して制裁回避を企てている」。

 さらに財務省は1月、ペトロについて「マドゥロ政権強化を狙ったものであり、ベネズエラ国民の財産をさらに奪うことになる」として、投資家に対し関与を避けるよう警告を発している。

 ペトロは外国政府から合法性の承認や関心が得られず、苦慮している。ベネズエラ政府は今年始め、ポーランドがペトロによる食料や医薬品の貿易に興味を示していると主張していたが、後日、ポーランドの金融庁と外務省により否定された。

 しかし、カンボジアはベネズエラから発想を得たようで、独自の官製デジタル通貨「エンタペイ」を検討していると、コインテレグラフが今月、伝えている