米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部は、世界の準備通貨としてのドルの役割を強化するため、中央銀行デジタル通貨(CBDC)開発の最前線に立つ必要があると主張した。

5月24日の講演で、FRBのラエル・ブレイナード理事は、CBDCプロジェクトが世界の金融システムに「重大な影響」を与える可能性があると主張し、米国が急成長するCBDCエコシステムで主導的な役割を果たすべきだと訴えた。

「CBDCがクロスボーダー決済で突出するようになる潜在力とドルの準備通貨としての役割を考えると、米国がクロスボーダーの基準の開発に参加することが不可欠だ」

発表によると、FRBは「デジタルプライベートマネーの役割の拡大、デジタル決済への移行、クロスボーダー決済でのCBDCの使用、そして金融包摂」という4つの分野にフォーカスを充てているという。

ブレイナード理事は、CBDCを採用することの潜在的なメリットをいくつか指摘し、COVID-19のパンデミックが米国の中で「デジタル決済への移行を加速させた」と主張する。

「私たちは、家庭や企業のニーズが時間の経過とともにデジタル決済へとさらに移行する可能性があることを調査し、予測する必要がある」と、ブレイナード氏は付け加えた。

ブレイナード氏はまた、民間のステーブルコインが広範に採用された場合のリスクについても言及。CBDCならば、金融政策に対する政府の権限を損なうことなく、既存の米ドル建てステーブルコインと同じユーティリティを提供できると主張した。

「中央銀行の法定通貨とは異なり、ステーブルコインには法定通貨のステータスがない。消費者の支払で民間マネーが広く使用されれば、米国の支払システムの一部が断片化され、家計と企業に負担をかけ、コストを上昇させるリスクがある」と、ブレイナード氏は指摘する