12月2日に米議会に提出された新しい法案は、すべてのステーブルコインに対して包括的な規制を行うことになるかもしれない。この法案が成立した場合、ステーブルコインで関連して提供されるサービスは、最初に複数の政府機関による承認を受けなければ違法になる。

「事前に、そして継続的に、適切な連邦の銀行当局や連邦準備制度理事会からの許可を得なければ、ステーブルコインを発行したり、もしくはステーブルコイン関連のプロダクトやサービスの提供したり、その他の方法で他の人が発行したステーブルコインを含む、ステーブルコイン関連の商業活動を行ったりすることは違法だ」

「ステーブル法案」と名付けられたこの法案は、「フェイスブックのリブラやその他のステーブルコインなど新しいデジタル決済手段によってもたらされるリスクから消費者を保護する」ことを目的としている。しかし、現在の議会はあと1ヶ月で終わってしまうため、法案が期間内に承認されるのは難しい作業となるだろう。

ウィラメット大学ロースクールのロハン・グレイ准教授は今回の法案が、大手テック企業が発行する民間のステーブルコインを目的としているが、「金融的な活動の幅広い範囲を」という言葉が含まれている点に注目する。グレイ氏は、この法案が「2007年から2008年の世界的な金融危機につながったようなシステマティックな『シャドーバンキング』リスクを防ぐこと」を目指していると付け加えている。

法案の提案者の1人である民主党のラシダ・トライブ議員は、ステーブル法案は、規制された金融サービスへのアクセスを欠くマイノリティグループを保護することを目的にしていると述べている。

この法案に対して、仮想通貨コミュニティからは批判の声も出ている。コインシェアーズの最高戦略責任者であるメルテム・デミローズ氏は、トライブ議員のツイートに対して、「仮想通貨は歴史的に銀行セクターから除外されてきた人々にサービスを提供するコストを削減するものだ」と述べている

デミローズ氏は、この法律が導入されれば、コンプライアンスコストが増加し、その結果、トライブ氏が保護したいと望んでいる人々へのアクセスを遮断することになると付け加えている。

仮想通貨企業サークルのCEO兼共同創設者のジェレミー・アレール氏は、ツイッターで「この法律は、米国におけるデジタル通貨のイノベーションにとって大きな後退を意味し、ブロックチェーンとフィンテック業界の両方の進歩を制限してしまうだろう」と主張した。

ワイオミング州議会のタイラー・リンドホルム議員は、この法律は仮想通貨セクターにおける非中央集権という基本的な精神に反すると指摘している

「非中央集権のために権力を集中化させるというなら、お断りだ。この業界は、銀行口座を持たない人々に経済的自由をもたらすことに長い間成功している。しかも、この法案で示されているようなエコひいき無しで、それを実現している」

仮想通貨取引所シェイプシフトのエリック・ボーヒーズCEOは、この法案が失敗する運命にあるという意見をシェアした上で、次のように述べている。

「仮想通貨を銀行のように強制しないようにしよう(そして実際、それは不可能だし、そうはならないだろう)」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン